76#勘違い ページ33
もう何時間、此の儘いるんだろうか。
ベッドの上で蹲るようにしたまま、小さく小さく息をして。
吸って、吐いて。
それを何度か繰り返した頃に…
ピンポーン
_________インターホンが鳴った。
誰だよ。誰なんだよこんな時に。
顔も見えないドア越しの相手に本気で毒突く。
其れだけ、今の私は機嫌が悪いのだ。
頗る機嫌が悪いのは、勿論太宰が原因な訳で。
其れに、もし私に勇気があったなら、全力で殴り飛ばしたいと思っているのが本音。
散々遊んで、その気にさせて。
其れでも屹度、彼の
ドアノブに手を掛け、ゆっくりと回す。
『はい。どちら様です、か…』
「やァ、A。」
其処にいたのは、砂色の外套を、舞い踊るように風にはためかせる太宰だった。
話す事は何もない、と云わんばかりのスピードで、
勢いよくドアを閉める…事は、彼の差し込んだ足によって阻止された。
『…何の用。』
「Aに会いたくなっただけだけど?其れと、寒いから中入れてくれる?」
この時私は確信した。
_________延長戦だと。
玄関口ではなくて、室内で話をする。
其れは、この一対一の対話が長く続くという事を意味する。
逢いたくなったなんてどの口が云うんだ、とか考えながらもリビングに招き入れる。
テーブルを挟んで、向かい合う。
気まずい空気が流れ、両者見つめ合ったまま_____私は睨みつける形だけど_____一言も発しない。
「ねぇ。」
漸く口を開いた太宰は、いつか見せたような真剣な眼差しを此方に向けた。
「誤解、なのだけど。」
…はぁ。
思わず小さな溜息が溢れてしまった。
何を云い出すのかと思えば、其れか。其れが正直な感想だった。
『何が。』
冷たい声色。
嫌気のさした顔をしているのが、自分でも厭なくらいに佳く判る。
「A、私が浮気したと思っているでしょう。」
何処か切なげな目でそんな事を云うものだから、少し揺らぎそうになる心。
駄目。この人は何時でもそうだった。
演技の上手い、人だった。
『…其れは違う、とでも?』
ゆっくり頷いた彼の口から飛び出たのは、思いもよらぬ言葉だった。
“任務中だった”、と。
会話という名の事情聴取を続けているうちに、本当に任務だったことが判明した。
大手企業のお嬢様。
その警護にあたっていたと云う。
『ごめん、なさい…勝手に、勘違いして。』
この時優しく微笑んだ太宰の心中を、私は知らない。
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夜空 - 僕、まだ13歳なんだけど見て大丈夫なのかな…(まあ意味わかるんだけど) (2022年6月7日 8時) (レス) @page22 id: 234ea08343 (このIDを非表示/違反報告)
Liea(プロフ) - wwらすくさんそれなです (2018年3月5日 16時) (レス) id: 99a35ea8a6 (このIDを非表示/違反報告)
らすく(プロフ) - Lieaさん» ついに映画きましたね!ほんともう双黒の尊さにハゲそうになりましたよ… (2018年3月5日 0時) (レス) id: a72fad02fa (このIDを非表示/違反報告)
Liea(プロフ) - とうとう映画公開されましたねぇ!やっぱり文ストは最強ですわ。 (2018年3月4日 16時) (レス) id: 99a35ea8a6 (このIDを非表示/違反報告)
らすく(プロフ) - みたら士さん» イヤー、オトナ太宰サンムズカシーナー(棒) (構ってもらえるのは嬉しい限りですん( ^ω^ )) (2018年2月23日 22時) (レス) id: a72fad02fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らすく | 作成日時:2017年11月5日 11時