【文スト】ふぅん、私に逆らうんだ？【太宰治】

67#依頼先 ページ23

此れ程まで出社が憂鬱だった日は、後にも先にも今日だけだ。

武装探偵社は、何時も非常に落ち着く場所な筈なのに。


「おやA、昨夜はお楽しみかい？」


「き、きききき貴様ッ！！ななな何て破廉恥なッ！！！」


「あれー？A遂に太宰t


『乱歩さん？』


あー…矢っ張何でもない。」


服の襟で隠しきれない首元の紅い花。

出社するなり皆に揶揄われるものだから本当に恥ずかしい。

其れに、太宰と二人で来たものだから、余計に弄られる。

助けを求めるべく横を見れば、ニコニコと此方を見る太宰。

あ、此れは善からぬ事を考えているときの顔だ…


「いやぁ〜昨日のAは一段と可愛かったなぁ。だって…」


『怒るよ？』


「また昨夜みたいにされたい？」


耳元で囁かれ、背筋を何かが這っているような気持ち悪さと寒気がした。

怒るよ、って云っただけじゃないか。

…あ、そんな事より。


『国木田さん。私早速ですが依頼片してきますね！』


「お、おう…」


何故か面食らった表情の理想系眼鏡男子を横目に、机上に置かれた儘の稍大きめの茶封筒を持ち、外に出る。

太宰に素早く腕を掴まれ、口パクで“何処行くの？”と聞かれたけれど、

ニッコリと笑顔で返しその場を後にした。

今日の仕事は、裏ルートから入ってきた依頼。

その上、彼にバレたら拙い事になるかもしれない。

だって、今回の依頼人は__________



ポートマフィア。



と云っても、正確には兄から承ったものだ。

黒蜥蜴の潜入先に資料を届けに行く事。

…否、普通は之ってマフィアで何とかして呉れるものじゃないの？

まぁ、情報は一応此方で調べたものだし、ちゃんと持って行くけれど。

中也さんには遭遇しないよう最善の注意を払って行かなきゃいけない。



嗚呼、命がけってこういう事だよね。

立原A、既にライフはほぼゼロだ。

68#依頼人は→←66#昨夜と痛み

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