検索窓
今日:5 hit、昨日:29 hit、合計:163,225 hit

60#乾杯と約束 ページ16

席に戻ってきた時、丁度机上に置かれた蟹クリームパスタ。

…が、二つ。

そして究極に目を輝かせる太宰が、一つ。…否間違えた、一人。

更に、緩みに緩んだ笑顔(スマイル)を一つ。


「あ、丁度今運ばれて来たところさ。いやぁ、Aは良いものを選ぶねぇ」


ん?あっ、そうか。この人って蟹が好物なんだっけ。

仕事中にも偶にカニカマを食べる程には。

私が席に着くと同時に、テーブルに置かれたグラスを小さく掲げた。


『「乾杯。」』


見た目は透明。勿論中身は水だから、

そんな乾杯なんて大層な事をする必要があるのかとも思うけれど。

思わず頬が緩み、自然と笑みが零れてしまう。

誰かと乾杯したのなんて、一体何時振りなんだろう。


____________中也さんと、ワイングラスを傾け鳴らしたあの夜を思い出す。


いやいや。もう忘れるって、決めたの。

決めたんだから。

今、此処にいるのは。私を想ってくれるのは。

紛れも無く、目の前の太宰なんだから。


「A。…早く食べないと、パスタが冷めてしまうよ。」


『う、うん。ごめん鳥渡考え事してて!』


急に名前を呼ばれた事で、勢いよく現実世界に引き戻される。

“何かあったら云って呉れ給え”。その言葉に頷いたものの。

言える訳なんて、ないのにね。

…そんな事すら、彼なら知っていそうだけど。




「ねぇ。私からも、Aとさせてくれるかい?」




________________“絶対”の、約束。




『え?い、良いけど…』


恐る恐る、答えた。

然し彼の恍惚とした表情は、何時ものような黒には塗れていない。

これなら大丈夫。私の脳がそう云っている。


「約束は、守ってね?」


そう云って差し出された、細長くのびる綺麗な小指。


『あはは、どうしたの?当たり前でしょー。』


其れに、自分の小指を絡ませ笑った。

此の時深く考えなかった事を、深く後悔することになるなんて。

思っても、いなかったんだ。

61#太宰の魅力→←59#冗談


  • 金 運: ★☆☆☆☆
  • 恋愛運: ★★★☆☆
  • 健康運: ★★★★★
  • 全体運: ★★★☆☆

ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした!


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (209 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
494人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

夜空 - 僕、まだ13歳なんだけど見て大丈夫なのかな…(まあ意味わかるんだけど) (2022年6月7日 8時) (レス) @page22 id: 234ea08343 (このIDを非表示/違反報告)
Liea(プロフ) - wwらすくさんそれなです (2018年3月5日 16時) (レス) id: 99a35ea8a6 (このIDを非表示/違反報告)
らすく(プロフ) - Lieaさん» ついに映画きましたね!ほんともう双黒の尊さにハゲそうになりましたよ… (2018年3月5日 0時) (レス) id: a72fad02fa (このIDを非表示/違反報告)
Liea(プロフ) - とうとう映画公開されましたねぇ!やっぱり文ストは最強ですわ。 (2018年3月4日 16時) (レス) id: 99a35ea8a6 (このIDを非表示/違反報告)
らすく(プロフ) - みたら士さん» イヤー、オトナ太宰サンムズカシーナー(棒) (構ってもらえるのは嬉しい限りですん( ^ω^ )) (2018年2月23日 22時) (レス) id: a72fad02fa (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:らすく | 作成日時:2017年11月5日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。