【文スト】ふぅん、私に逆らうんだ？【太宰治】

58#心配 ページ14

此の場所に蹲ってから、一体どれだけの時間が経過したんだろうか。

携帯で時間を確かめる勇気もない。

そもそも、顔を上げたくない。

判るかな、お風呂で髪を洗っていて、

顔上げたら正面の鏡に何かが映ってるんじゃないか、って思うアレ。

そう、其れと同じ感じ。

だから、顔を上げたくない。

正面に、バァ、とか云って女の子がいたら発狂しちゃうよ。私。

相変わらず、時々ガタガタと音を立てる古びた窓。

遠くで聞こえる鴉の鳴き声。

…そして、あしお、と…？

えっ、ちょっと待って嘘でしょ？

時が止まったような、蹲った小さな世界の中。

唯一先刻まで聞こえていなかった、硬めの靴音。

其れは、段々と此方に近づいて来て…

ピタリと、止まった。

一瞬のうちに再び訪れた静寂。

窓音も鳴き声も聞こえなくなる。音が、しない。


「鳥渡。」



『ひゃっ…！』


突然頭上から降って来た声に吃驚して、

短く情けない悲鳴をあげ、思わず瞬時に身構えた。

…然し攻撃される事はない。

其れに…あれ？

よく考えれば、先刻降って来た声は、私がよく知る声だ。

恐る恐る構えを解くと_____________


「全く…心配したのだよ？」


私が、ずっと待っていた君がいた。

何時もは腹立たしいだけだった包帯だらけの其の姿。

今は迚も、輝いて見えた。


『ごめ、なさ、っ…』


「そんなに泣かないでくれ給え。さ、出ようか。」


子供のように泣き噦る私。

そんな私の手を優しく引いてくれる。

…そんな人、後にも先にも太宰だけなんだと、思うんだ。



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更新遅くなってごめんなさい！

塾とその宿題があります故、

更新ペースが本当に下がるかと((

あ、でも出来るだけ頑張ります！

59#冗談→←57#絶対

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