9*花畑と平穏。 ページ9
街を駆けて、路地を抜けて、また街を駆けて。
何処へ行くのかも知らない儘、
治の手が、足が、声が通った道を辿る。
「着いたよ。」
連れてこられたのは、小さな丘で。
其処に散らばるたくさんの色。
花の甘く優しい香りが鼻腔をくすぐる。
『綺麗っ…!』
思わず感嘆の声を上げた先に広がる花畑は、現実のものとは思えないほどの美しさと輝きを放っている。
横で微笑む治と目が合えば、
”気に入った?”なんて聞いてくる。
そんなの…
『気に入った!』
それ以外選択肢はないでしょう?
正直、ヨコハマにこんなに素敵な場所があるとは思っていなかった。
ここに連れてきてくれた彼の真意は私には判らないけど、
屹度、血生臭い世界に生きる私に光を見せようとして呉れたんだと思う。
そういえば______どうして治は探偵社に入社したのかなぁ。
入社以来、彼は変わった。
笑顔は増えて、優しくなって、周りをもっと大事にするようになった。
「Aと心中するならこういう場所がいいと思ってねぇ。」
…自 殺癖は昔から変わっていないけど。
『お一人でどうぞ。』
「厭だなぁ、一人じゃあ心中は出来ないのだよ?」
そう云って笑う君も、昔から変わらない。
私たちは他愛もない話をしながら、
太陽が西に傾く時間迄、肩を並べて静かに移ろう景色を眺めた。
一言で表せば、平穏。
…久々にゆっくりできた気がするなぁ。
「帰りは私が家まで送ろう。」
そう云って、隣で立ち上がった治は、此方に向かって左手を差し出す。
私は、今日は其の手を掴んだ。
稍あの日の面影に重ねて。
『ありがと、じゃあうちで夜ご飯とか食べて行く?』
「喜んで誘いに乗りたいけれど…大丈夫だ。安吾もいるだろう?」
頷いて見せると、
“安吾がいないときにでもお邪魔しようかな”と呟く。
残念だけど、確かにうちには兄がいる。
僅かながらに事情を察し、それ以上は言葉を紡がなかった。
街へ戻れば、夕焼けに染まる二人と影法師。
其の後ろに、もう一つの影があったことを、この時二人は知らなかったのだ。
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友人の奨めもあり、設定を追加しました。
其のときに話の番号も変わってしまったのですが…
混乱してしまった方は申し訳ないです。
こんな作者ですが、
今後もよろしくお願いします…!!
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らすく(プロフ) - みたら士さん» 嗚呼…何にも呟いてなかったからかもしれないです( ˙-˙ )見つけた(と思う)のでフォロー致しました(・∀・)b (2018年2月25日 10時) (レス) id: a72fad02fa (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - らすくさん» たしかにつらいっすねぇ……そーいや、ツイッターでらすくさんのこと検索しても出てきませんっした……あの、私のこと調べてくれます…?『マスクにinする人』って… (2018年2月25日 10時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
らすく(プロフ) - みたら士さん» エリスちゃんが可愛すぎてつらい( ^ω^ )森さんと一緒に写真撮りたいです(真顔) (2018年2月25日 10時) (レス) id: a72fad02fa (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - たしかに……エリスちゃんに呼び捨てにされるのはいいですねぇ (2018年2月25日 10時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - たしかに……エリスちゃんに呼び捨てにされるのはいいですねぇ (2018年2月25日 10時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らすく | 作成日時:2018年1月4日 0時