検索窓
今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:34,098 hit

4*名前と羞恥。 ページ4

中原さんに促され、遠慮がちに車の助手席に腰を下ろす。


此の黒光りの凄い高級車に乗せていただいた事、もう数知れず。


其れでも矢っ張り慣れないものだよね…


ぼーっとし乍ら、高速で移ろっていく窓の外を眺めていると。



「なァ、手前って俺の事苗字で呼んでるよな?」



今迄は特に気になってこなかったけどよ、と一言。


確かに、云われてみればそうだ。



『はい。』



何となく其の言葉に続きがある気がして、無闇に言葉を発するのを控えた。


次に発される言葉を、固唾を飲んで待つ。


何だろう。何か、拙いことでも…


否、其れは無い筈。何年も苗字で呼んできているのだから。


何だかんだ云って、治の補佐をやっていた頃も、中原さんとは意外と関わりがあったんだよね。


…治には“余り中也には会わないで呉れ給え”って云われていたけれど、


彼から資料や書類を渡したり受け取ったりするのは、太宰幹部の補佐という立場では避けられないからね。



「じゃあ、何で太宰の木偶の事は名前で呼んでンだよ。」



…あれ?


思っていたより真剣なお話ではないな。其れが、正直な感想だった。


なら一体何だと思ったかなんて問われれば、全くあの流れからは想像出来ないけれど。



『否、特に理由はないですよ…?』



一つ理由があるとすれば、初めて彼に会った時に下の名前を教えられたからかも知れない。


“私は治だ”…と。



「だったら、俺も中也って呼べよ。」



『えぇえ!?あの、其れは慣れないし…っ』



やめませんか。


其の言葉を云う前に、彼はニッと悪戯少年のような笑顔を向けて云うのだ。



「幹部命令だかんな?」



いきなり如何したんだろう、という思いより


流石に恥ずかしい、という思いの方が強かった。



『…判りましたよ。中也、さん。』



ただ名前を呼ぶだけなのに、何でこんなに恥ずかしいのか。


…まぁ、一度苗字に慣れてしまえば、屹度皆そうなのだろう。


頬が暑い。


自分の事に精一杯だった私は、紅く染まった彼の耳と頬には気付かなかった。



*ーーーーーーーーーーーーーーーーーー*


そろそろ太宰さんモード突入致します…!

5*過去と葛藤。→←3*誤解と動悸。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (140 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
254人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

らすく(プロフ) - みたら士さん» 嗚呼…何にも呟いてなかったからかもしれないです( ˙-˙ )見つけた(と思う)のでフォロー致しました(・∀・)b (2018年2月25日 10時) (レス) id: a72fad02fa (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - らすくさん» たしかにつらいっすねぇ……そーいや、ツイッターでらすくさんのこと検索しても出てきませんっした……あの、私のこと調べてくれます…?『マスクにinする人』って… (2018年2月25日 10時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
らすく(プロフ) - みたら士さん» エリスちゃんが可愛すぎてつらい( ^ω^ )森さんと一緒に写真撮りたいです(真顔) (2018年2月25日 10時) (レス) id: a72fad02fa (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - たしかに……エリスちゃんに呼び捨てにされるのはいいですねぇ (2018年2月25日 10時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - たしかに……エリスちゃんに呼び捨てにされるのはいいですねぇ (2018年2月25日 10時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:らすく | 作成日時:2018年1月4日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。