12*状況と心境。 ページ12
”違うんです“。
其の言葉が、出てこなかった。
まるで喉に重い球でも突っかかっているように、
奥の方で絡まって、捻れて、出たがる言葉を引き止める。
「んじゃ、俺は首領に呼ばれてンだ。其処の書類、頼むぜ。」
彼は私に背を向け、其の儘執務室から出て行ってしまった。
『…はい。』
返事すらも聞こえていないだろう一人の部屋で、
背後の机上の山積みになった書類を唯呆然と見つめた。
私は、何がしたかった?
私は、何て云って欲しかった?
私は、彼に何て声を掛ければ佳い?
私は、私は…_________
自問を繰り返してみても、疑問だけが募って、
実際は解決になんてならない。
抑も、私は中也さんをどう思っているんだろう。
自分の事すら判らないのに、相手の事を知りたいなんて。
『私…我儘だなぁ…っ』
自嘲気味な乾いた笑いが、執務室に小さく木霊した。
嗚呼、こんな私だから、織田作は離れて行ってしまったんじゃないか。
厭な想像が脳内を走馬灯のように駆け巡っていく。
『…違う。織田作は、そんな人じゃない。』
其れだけ一人呟いて、山の様な書類の束を持ち上げ、
開け放たれた儘の扉から外へ出る。
彼の幹部執務室の隣が私の作業部屋となっているから、
こういう時みたいに荷物や書類が多い時は非常に便利で扶かっている。
でも…
『気まずい。非常に気まずい…!』
此の儘彼が首領に呼ばれて戻って来なきゃいい、なんて思った事は心の内に秘める。
其れに、”どうせ戻って来ても会わなければ佳い“なんて考えを持たない方が良いのは、
今迄の経験上理解している心算だ。
何故なら、首領に呼ばれる理由なんて
エリス嬢のお相手か、比較的難易度の高い任務か機密性の高い任務のお話。
でも今回は、恐らく任務のお話だと思う。
…エリス嬢にお呼ばれの時の、死んだ魚の様な目をしていなかったから。
流石に上司に失礼なので、此れも心の内に秘めるけど。
其の上大体は、幹部の彼と、其の補佐の私で任務に駆り出されるのだ。
つまり…私は後に彼と任務があると予想される。
》》心境:最悪《《
云うなれば、最悪の状況かつ心境なのである。
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らすく(プロフ) - みたら士さん» 嗚呼…何にも呟いてなかったからかもしれないです( ˙-˙ )見つけた(と思う)のでフォロー致しました(・∀・)b (2018年2月25日 10時) (レス) id: a72fad02fa (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - らすくさん» たしかにつらいっすねぇ……そーいや、ツイッターでらすくさんのこと検索しても出てきませんっした……あの、私のこと調べてくれます…?『マスクにinする人』って… (2018年2月25日 10時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
らすく(プロフ) - みたら士さん» エリスちゃんが可愛すぎてつらい( ^ω^ )森さんと一緒に写真撮りたいです(真顔) (2018年2月25日 10時) (レス) id: a72fad02fa (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - たしかに……エリスちゃんに呼び捨てにされるのはいいですねぇ (2018年2月25日 10時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
みたら士(プロフ) - たしかに……エリスちゃんに呼び捨てにされるのはいいですねぇ (2018年2月25日 10時) (レス) id: d493129e91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らすく | 作成日時:2018年1月4日 0時