【文スト】私が絶対に決まってるだろう？【太宰治】

狙い ページ34

「あ、そういえば、探偵社員には伝えたのかい？」


『ううん。伝えてないよ。』


私が敢えて皆に伝えなかったのは、混乱を避ける為。

今、武装探偵社は非常に忙しくしている。

最近ヨコハマの治安が悪いのだから、仕方がない。

…朝から山積みの書類は、そういう訳だ。

だからこそ特に、名探偵乱歩さんの力が必要不可欠。

其のタイミングでの此の犯行。

余りに忙しく、同僚に気を配るのすら難しい此の時に。

確かに、犯罪がバレるのを恐れた彼等が探偵社の主力とも云える乱歩さんを拐うのは妥当だと思う。

…でも、少し可笑しい。


『ねぇ、太宰。』


「噫、矢っ張り思うよね。何故今更か、って。」


其の通り。御名答だね。

本当、此の男は人の心が読める異能者かと錯覚してしまう。

実際、そうなのだ。

問題は何故、今更拐ったのか。

彼等は約三年前に始動。

カタストロフの進撃は続き、異能力者の減少は留まる事を知らない。

今迄にも、依頼が殺到していた時期は有る。

其の上社長が出張も重なって、といった事も数回。

ただ拐うだけなら、何時でも良かった筈。

然し、何故“今“を選んだのか。

そんなの、答えは簡単だ。

そう、彼等の狙いは________






『「敦くんだね。」』

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