異能力 ページ25
『太宰っ…!?』
何故、此処が分かったの?
何故、この男を知っているの?
何故、こうなると分かっていたの?
何故、助けてくれたの?
訊きたいことなんて、沢山ある。
「恋人の危機を放っておく訳にはいかないからね。」
相変わらずヘラヘラしていたかと思ったら、
気付けば男に当てられた拳銃。
「ははっ、甘いな。その行動、予測済みなんだよね。」
「くッ…!!」
潰れたような声で、逃げろ!と叫ぶ太宰。
鳩尾を殴られたらしく、歯を食いしばって膝を折った姿勢。
直線五米程先で私の前にかざされた男の右手。
呆然と立ち尽くす私。
状況の整理は出来ている。
十分すぎるほどに、判っている。
後ろで嵌められた手錠。重い足枷。
普通に考えたら、100%逃げられるわけがない。
嗚呼、スローモーション。
かざされた右手からは、燃え盛る炎。
一瞬、一瞬、また、近付いてくる。
熱い、熱い、熱い。
此の儘、異能に焼かれて死ぬのだろうか。
『…取れた。』
ピンを変形させて手錠を解いた。
謂わばピッキングの様なもの。
ジャラ、と音を立てて枷が外れる。
「莫迦な!!」
そりゃそう思うよね。
先刻迄は脱出すら出来ていなかったターゲットが、
直ぐ横にいるのだから。
『今貴方が見てたものは、幻像よ。私からは、幻覚を見せてあげる。』
谷崎さんの『細雪』。
太宰だけで乗りこんでくるはずがないのは判ってた。
探偵社ならではの団結力を見せ付けた瞬間と云っても過言じゃないよね。
そして私は、彼の腕に針を刺した。
_______異能力___________『暁と夕の詩』
此れが、私の異能力。
「…ッ!!!」
意図的に傷付けた者を対象とし、幻覚を見せて操る、精神操作の異能。
忌み嫌われる此の力。
其れでも、彼等は受け入れてくれた。
彼は、社員として推薦してくれた。
守り抜くの。最期の時まで。
『最期くらい、素敵な幻想を魅せてあげる。』
狂いに狂った男は、太宰が落とした拳銃を拾い上げて、笑顔で己の脳天を撃ち抜いた。
"嗚呼僕は、貴女の為になれたかなぁ"と呟いて。
倒れた彼の外套から出てきた小さな黒い箱。
開けてみると、其処には輝く銀の指輪。
首に掛かっていたネックレスには、笑顔の女性と、小さな少女の写真。
「A、良くやった。」
泣き崩れる私の肩に、優しく乗せられた大きな手。
「誰にでも、事情というものはある。…Aは、よくやったよ。」
滲む視界の端に、腕の小さな赤を見た。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキーアルファベット
X
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西 - この方角に福があるはずです
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きみしにたもー - 確定www (2017年11月12日 20時) (レス) id: 8bf6e3ba03 (このIDを非表示/違反報告)
らすく(プロフ) - きみしにたもーさん» 書いてる本人に変態疑惑…いや、疑惑どころか確定してしまう…っ (2017年11月9日 22時) (レス) id: a72fad02fa (このIDを非表示/違反報告)
きみしにたもー - ぐるぐる読みまくらせていただいていますやっぱ太宰さんいいですねえ(変態疑惑 (2017年11月9日 21時) (レス) id: 8bf6e3ba03 (このIDを非表示/違反報告)
らすく(プロフ) - よひらさん» ありがとうございます!!ぜひぜひ拝見させていただきます! (2017年11月5日 22時) (レス) id: a72fad02fa (このIDを非表示/違反報告)
よひら - あ、失礼なのですが、良ければ私の書いている小説「双黒の愛娘」見てみて下されれば嬉しいです! (2017年11月5日 18時) (レス) id: d40f591537 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らすく | 作成日時:2017年9月27日 0時