【文スト】私が絶対に決まってるだろう？【太宰治】

新命令 ページ20

少し時系列が乱れましたが、

太宰に呼ばれたところからスタートです！

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「行ってきなよ。」


一礼して乱歩さんの机を離れる。

資料室等に通じる扉の前で、口元を歪めている太宰。

腕を組み、扉に寄りかかっている。


『ねぇ、未だ仕事ちゅ

「私の前で中也の話、禁止ね。」


耳元で囁かれる。

不覚にも一瞬、ドキッとしてしまった。

相当彼の事が嫌いらしい。

其の名を呼んだ瞬間、苦虫を擂り潰したような顔をした。

そして、其の声はどこか冷たく感じた。


「近付いても、駄目だよ。」


不敵な笑みを浮かべて、自分のデスクへ戻っていく。

此れは、新しい命令かな。

つまり、会うことすら、お仕置き対象。

私の恋人は究極の鬼畜でした。


「おい、A。この書類纏めておいてくれ。」


国木田さんに呼ばれてハッと我にかえる。


『おっ、お任せあれっ』


あ、何か変な感じになっちゃったよ。

あれもこれも、太宰のせい！

…何で、こんなに心を乱されるの。

只の、恋人という名の契約人。

元を云えば、仕事の上司。

如何してこんなに振り回されるのだろうか。


「どうしたんだい、A。まさか、恋患いかい？」


ニヤニヤする与謝野先生。


『やめてくださいよ、そんなんじゃ無いですから。』


「そうですよ、私のAが他の男の事を考えてる訳無いじゃないですか。…ね、A。」


今云った。確かに聞こえた。

”私の”と。


「え、アンタたち付き合ってるのかい！？」


そう、未だ誰も気付いていなかったのでした。

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