【文スト】私が絶対に決まってるだろう？【太宰治】

お仕置き ページ11

ｰ今日ｰ
さて、少女漫画の様な回想世界から戻って来ましたが。

目の前にいるのはニヤニヤしている包帯男。

そう、私はやらかした。

あれだけ気を付けていた心算だったけれど、やってしまった。


「A」


『はい。』


思わず口から出たのは敬語だったけど、まぁ構わない。

思ったより落ち着いてる、かもしれない。


「其の余裕、直ぐになくしてあげるよ。」


ちょっと待って顔近いですごめんなさい！

耳元で囁かれた声によって既に失われた余裕。

そうだよね。

前回はあんな映画の中のお姫様のような扱いをしてくれたけど、

今回はそう。


「お仕置き、だよ。」


だから、どうなるかは分からない。


『ね、ねぇ…太宰…っ？』


裏返った声。

彼の手がコンビニの未だ真っ白な外壁にトン、とつかれる。

此処は人通りは多くない。

でも、だからと云って少なくもない。

今周りに数人しかいない事が奇跡だ。

然し、今は店の中に中也さんがいる。

もうとっくに諦めた相手だとはいえ、こんな状況で会えば気まずい。

店の出入口を見ていた。つまり、余所見。


『ん…っ！？』


刹那、太宰の唇が重ねられた。

触れるだけの優しい接吻。

綺麗に整った其の顔は、作法に則って目を閉じていた。

いきなりだったとはいえ、思いっきり目を開けた儘の自分が恥ずかしい。


「顔真っ赤。…ね、中也。」


くすくすと笑って振り返った彼の背後には…


『ひッ…！！中也さんっ』


「よォ、A。久し振りだなァ？」


どす黒いオーラを纏った中也さんがいた。

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