第二話 ページ3
「A、おまえ何見てるんだ？」
「何も見てない」
画面を閉ざし、歩いてきたユウにも背を向ける。
昔、行く先々で何度も遭遇していた涼野いとの弟のユウ。同級生だった蓮城寺べるのファンでもあると思われる彼は、二人のライバル選手だった私のことを未だに良く思っていないみたいで。私自身ユウと話すことはあまり好きじゃない。
「ふぅん、まぁいいや。おまえ、コウジを見なかったか？」
「コウジならさっき練習するって言ってたけど」
「そっか。センキュー」
私に背を向けて地下の練習場へと向かうユウは、私が思っている以上に私のことを嫌っている訳じゃないと思う。だから普通に話しかけてくるし、時々同じエーデルローズの仲間だと思ってくれているような言動もしてくれる。けれど、やっぱりいとに似ているからか私はユウのことが苦手だ。
「待って、私も行く」
でも、それは全部過去のことだから。そう思うから私は今ユウに触れた。追いかけて、隣に並んで、一緒に階段を下りるとコウジが視界に入る。そして――そこに、シンがいた。
「！」
思わずユウと一緒に隠れて、すぐに合流してきたユキ、ミナト、レオと顔を見合わせる。
何かが今始まろうとしていると、本能がそう言っていた。
「プリズムショー……」
する気なんだと声が出る。何年もずっと一緒にいたあのコウジと、ついさっきここに来たばかりのあの新人が。
私がユウに良く思われていない一因でもあるコウジとの出逢いは、話せば長くなるくらいに昔のことだ。私たちはお互いにれっきとしたエーデルローズ生で、当時密かに憧れていた先輩がコウジだった。
だから、私がコウジのことを奪おうとしてるんじゃないかってユウは思っているらしい。する訳ないのに。あんなに彼女にベタ惚れなんだから。普通の人間なら絶対に諦める。けれど、これからコウジのプリズムショーを見るんだってなった時のこの胸の高鳴りは正直で苦しかった。
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はら - オリジナルフラグ外し忘れていますよー違反行為なのでちゃんと外して下さいねー (2018年5月18日 10時) (
レス) id: 0ab2a8dc70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鬼童輪廻 | 作成日時：2018年5月17日 20時
