見せたくないもの ページ6
少しして乗せられた車。
あまり乗ったことが無くてそわそわしてしまう。
暗い外。流れていく街灯とちらほらと見える人影。
ポツポツと雨が降っている。
そんなのを眺めていると車が止まった。
「ついたぞ」
扉を開ける彼。
伸ばされた手に捕まって降りる。
雨で耳が濡れる。擽ったい。そう思っていると頭に何か乗せられた。
「すぐそこだが、濡れるの嫌だろ？」
そう言う彼を見て乗せられたのが普段被っている黒い帽子だと気付いた。
また彼の手に引かれて歩くとマンションの一室についた。
「此処が俺ん家だ」
中に入り彼について廊下を歩いていくと広い部屋についた。
羽織っていた外套をハンガーにかける彼に帽子を渡す。
彼は笑ってそれを棚に置いた。
「…A」
私の名前。最後に呼ばれたのはもう何年も前。
どうして彼が知ってるんだろう。
貴方「…はい」
「可愛い声してんじゃねぇか」
褒められた…？
どうして？
「とりあえず風呂入って来いよ。疲れてるだろ？」
そう言って一つの部屋に連れて来られた。
物の場所や使い方を説明をして彼は出て行った。
着ていた服を脱いで風呂場に入る。
出てくるシャワーのお湯に当たり乍ら彼について考える。
一つ辿り着いたのは、彼の名前も何をしてる人なのかも知らない。
後で聞こう。緊張と若干の恐怖心で声が出ないかもしれないけど。
お風呂から出るとご丁寧に服まで用意されていた。
彼の匂いがするということは彼の服ってことだろうか。
少し大きいけどまぁそれ程問題もないだろう。
先刻の広い部屋に戻ると彼は何時もの黒い服ではなくTシャツ姿になっていた。
緩い姿の彼はまた別人みたいだ。
「ん、此方来いよ」
彼はソファーから私を呼んだ。
隣に座ると彼の甘くて優しい匂いが鼻を掠める。
突然私の左側の髪を右側に流した。
「これか…」
深刻そうな顔をする彼。
何だろうと思って思考を巡らす。
……左側は確か大きめの傷痕があったはず。
貴方「だめっ…。見ないで…ください…」
「もう痛くないのか？」
貴方「かなり前の…なので…」
「そうか。突然見て悪かったな」
首を横に振る。
怖かっただけだ。この傷のせいで暴力を受けたこともあったから。
彼の目の色が変わるのが怖くて見せたくなかった。
この傷を見ると皆目の色が変わる。今までそんなに暴力や暴言を吐かなかった人が突然正反対の事をする。
そんな人を何人も見てきたから。
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紅野(プロフ) - ソリバさん» いつもありがとうございます…！続編になりそうな気もしますが、もう少し考えてみますね。 (2017年11月7日 23時) (
レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
ソリバ(プロフ) - いつも楽しみにしてます！できれば続編お願いします！！ (2017年11月7日 14時) (レス) id: c80ce2fe4d (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - ニャン将さん» ありがとうございます！もう少し検討させてもらいますね…！ (2017年11月6日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 埃さん» いい作品だなんてありがとうございます…！何ででしょう… (2017年11月6日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 続編希望します！！ (2017年11月6日 18時) (レス) id: a5f5e3b412 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅野 | 作成日時：2017年9月2日 16時
