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考える ページ33

あれから暫くまた車に揺られて辿り着いたのは電子機器を扱うお店。
何をしに来たのかというと……。

中也「はい、お前のな」

貴方「あ、ありがと……」

携帯電話を買ってもらいました。
私の手にギリギリ収まる大きさのそれは、色んなことができるらしい。

中也「これがあれば遠慮しなくていいだろ?」

貴方「……うん」

中也「使い方は、何となくわかるか」

貴方「中也の見てるからだいたいはわかるよ」

人間の技術ってすごい。
こんな小さい四角で世界を知る事ができる。
あ、また人間とか言っちゃった。



それからまっすぐ家に帰るとリビングから優香さんが出てきた。

優香「お帰りなさい。あまりに遅いから心配でしたわ」

貴方「……遅い内に入らないでしょ」

ぼそっと呟くと一瞬睨まれた。
それに気づいてか中也が間に入るようにリビングへ歩き出した。

中也「ちょっと買い物しに行ってただけですよ」

優香「そ、そう。森様に連絡をしても随分前に出て行かれたと聞いて何があったのかと」

中也「ご心配おかけしました」

並んで歩く二人。
私は後ろで優越感を形にした様なあの女をどうしたらこの家から追い出せるか考えた。

でも私には『悪い事』を考える力が無いのか何も思いつかない。
誰かの力を借りられたら……。

そうだ、一人知ってる。
会ったことはない。でも聞いたことはある。頭が良くて、マフィアになる為に生まれてきたような男。
今は同じ横浜の違う組織にいるって聞いた。
探そう。あの男の事なら意外にも耳にしていた。
人間より聴力、視力は良いつもりだ。だから色んな情報を盗み聞きした。その中で一番多かったのがその人のこと。……太宰治のこと。
どんな人かはわからない。もしかしたら凄く怖い人かもしれない。でも彼が嘗て最善の為なら手段を選ばなかった様に、私も今は何でもできる気がする。いや、何をしてでも追い出してやる。



中也にバレないように静かに家を出る。
夕方。オレンジ色に染まる空。
あまり長くは出て歩けなさそうだ。
早く探そう。色んな人に聞いていけば誰か一人くらいは知ってるんじゃないかな。
世の中そんなにいい人ばっかりじゃないか……。
そう思いながら何処へともなく足を動かした。

その色は→←思考が読めない



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紅野(プロフ) - ソリバさん» いつもありがとうございます…!続編になりそうな気もしますが、もう少し考えてみますね。 (2017年11月7日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
ソリバ(プロフ) - いつも楽しみにしてます!できれば続編お願いします!! (2017年11月7日 14時) (レス) id: c80ce2fe4d (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - ニャン将さん» ありがとうございます!もう少し検討させてもらいますね…! (2017年11月6日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 埃さん» いい作品だなんてありがとうございます…!何ででしょう… (2017年11月6日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 続編希望します!! (2017年11月6日 18時) (レス) id: a5f5e3b412 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅野 | 作成日時:2017年9月2日 16時

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