わかんないよ ページ28
貴方「何それ」
優香「だって私、あなたなんかより教養があるわ。今世の中で必要とされているのは、金と権力と教養。あなたみたいな野良犬育ちと一緒にされたら困るのよ」
貴方「話になんない。勉強が出来るから何」
優香「理解力もないのね。本当、何故あなたが中也さんに気にいられてるのかしら」
今までに無いくらい腹立つ。
知らない人なら噛み付いてる。
いや、噛み殺してる。
でも中也の仕事相手だからそうもいかない。
苛々として早足で部屋を出ると丁度廊下で中也に会ってしまった。
中也「どうした?」
貴方「…何でもない」
中也「A?」
貴方「……何でもない」
中也「何で苛々してんだよ」
貴方「してない」
中也「してるだろ」
貴方「……中也にはわかんないよ」
言ってから何言ってんだろうとびっくりした。
中也にはわからない。
それは何だか自分から壁を作ってしまってるみたいだった。
もうこれ以上彼から離れたくないのに…。
中也「どういう事だ」
貴方「本当に、何でもないから」
無理に笑って彼の横を通ろうとすると、ぐっと腕を引かれた。
中也「待てよ」
貴方「何で止めるの」
中也「まだ話終わってねぇだろ」
貴方「終わったよ」
中也「何かあったんだろ」
貴方「…別に」
はぁっと溜め息を吐く中也。
俯いてる私の頭をいつもみたいに撫でた。
中也「気にすんなよ」
貴方「……」
中也「どうせ近いうちに居なくなるんだしよ」
貴方「………気にするよ」
言われたことを思い出すと気にしないなんて出来なかった。
彼が嘘を付いてるなんて思えないし思いたくないけど、もしそうだったらと考えると涙が止まらなくなった。
中也「A?ど、どうした?」
私が泣いたのは初めてじゃないのにいつも以上に焦ってる。
もう彼の本当の気持ちも、自分のことも分からなくなってきた。
私って何なんだろう…。
ふわっと彼の匂いに包まれる。
またいつもみたいに私を抱き締めて優しく撫でる。
貴方「もう…わかんないよ…」
中也「A?」
いつも以上に柔らかい中也の声。
暖かい体温。
それがまた私の頭の中をかき混ぜる。
彼のお腹にぐっと額を押し付けて目を瞑った。
貴方「わかんないよ…」
中也「……ちょっと仕事行く用あるから一緒に来いよ」
貴方「…え?」
中也「嫌なら来なくてもいいぞ」
貴方「………行く」
きっと気分転換にと思ったんだろうな。
彼の優しさを感じながら涙を拭った。
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紅野(プロフ) - ソリバさん» いつもありがとうございます…!続編になりそうな気もしますが、もう少し考えてみますね。 (2017年11月7日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
ソリバ(プロフ) - いつも楽しみにしてます!できれば続編お願いします!! (2017年11月7日 14時) (レス) id: c80ce2fe4d (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - ニャン将さん» ありがとうございます!もう少し検討させてもらいますね…! (2017年11月6日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 埃さん» いい作品だなんてありがとうございます…!何ででしょう… (2017年11月6日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 続編希望します!! (2017年11月6日 18時) (レス) id: a5f5e3b412 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2017年9月2日 16時