検索窓
今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:291,862 hit

二度寝 ページ26

少し眩しくて目を開けると目の前には白い肌があった。
ふと見ると珍しく彼はまだ眠っていた。
何時もなら私が起きる頃には隣になんていないのに…。
彼の顔から視線を落とすと左腕が目に入った。

貴方「あ……」

過ったのは初めて彼に会った頃。
傷はすっかり消えていたが、この綺麗な肌に歯をたててしまったことを今でも後悔してる。
傷のあった所に触れ乍ら痛かっただろうなと思う。

「どうした」

貴方「あ、起こしちゃった…?」

中也「いいや。…俺の腕なんか見て何かあったか」

貴方「……初めて会った頃、私噛んだでしょ。痛かっただろうなぁって…。御免ね」

中也「気にしてねぇよ。怖がるのはわかってたことだしな」

私を自分の方に寄せる素手。
先刻より近づいた首元。
普段以上に大人っぽい彼の全てが好きだ。
勿論普段の彼も好き。
目の前の白い肌に擦り寄ると彼はふっと笑って私の頭を撫でた。

貴方「……御免ね」

中也「いいって。それに、あの傷で騒ぐならマフィアの幹部なんてやってらんねぇよ」

貴方「それもそうだね」

悪いとは思ってる。でもそう言われると何だか大した事でもなかったかなぁなんて。

貴方「あ…!中也、お仕事行かなくていいの?」

中也「ん?あぁ。今日は忙しくねぇから家でやる。だからまだいいだろ」

貴方「良かった。何時もより起きるの遅かったから」

中也「最近遅くまで仕事してること増えたし、昨日からは家でも仕事みてぇなモンだし、疲れてんのかもしんねぇな」

確かにここに来た時より遅くまで仕事をしてる事が増えた。
目の下に隈を作る事も増えた。
彼が寝不足の時は決まって煙草の本数が増えたり、お酒を飲む事が増えたりする。
お酒は直ぐ酔っちゃう体質みたいだから控えてほしい。
でも好きならしょうがないか。
彼が酔ってる時、隠れて一口貰ったけど美味しいのはわかる。葡萄酒、だっけ?意外と美味しかった。
けど、疲れてるからってヤケになって飲むのはやめて欲しい。

貴方「無理しちゃ嫌だよ。中也頑張り屋さんだから心配」

中也「Aと居る時は楽にしてれるし大丈夫だ」

ふぁぁっと彼が欠伸をする。
昨日だって途中でやめたものの、遅くまでやってた訳だし疲れてるに決まってる。

中也「ちょっと寝る」

うん、と小さく返して彼の背をゆっくり撫でる。
すると彼はふぅっと息を吐いて確り私を抱き寄せた。
少しして規則正しい息遣いが聞こえてきた。

…私も寝よう。
彼の確りした胸に顔を埋めてまた眠りについた。

腹立つ→←夢じゃない



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (205 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
548人がお気に入り
設定タグ:文スト , 中原中也 , 紅野
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

紅野(プロフ) - ソリバさん» いつもありがとうございます…!続編になりそうな気もしますが、もう少し考えてみますね。 (2017年11月7日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
ソリバ(プロフ) - いつも楽しみにしてます!できれば続編お願いします!! (2017年11月7日 14時) (レス) id: c80ce2fe4d (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - ニャン将さん» ありがとうございます!もう少し検討させてもらいますね…! (2017年11月6日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 埃さん» いい作品だなんてありがとうございます…!何ででしょう… (2017年11月6日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 続編希望します!! (2017年11月6日 18時) (レス) id: a5f5e3b412 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紅野 | 作成日時:2017年9月2日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。