二度寝 ページ26
少し眩しくて目を開けると目の前には白い肌があった。
ふと見ると珍しく彼はまだ眠っていた。
何時もなら私が起きる頃には隣になんていないのに…。
彼の顔から視線を落とすと左腕が目に入った。
貴方「あ……」
過ったのは初めて彼に会った頃。
傷はすっかり消えていたが、この綺麗な肌に歯をたててしまったことを今でも後悔してる。
傷のあった所に触れ乍ら痛かっただろうなと思う。
「どうした」
貴方「あ、起こしちゃった…?」
中也「いいや。…俺の腕なんか見て何かあったか」
貴方「……初めて会った頃、私噛んだでしょ。痛かっただろうなぁって…。御免ね」
中也「気にしてねぇよ。怖がるのはわかってたことだしな」
私を自分の方に寄せる素手。
先刻より近づいた首元。
普段以上に大人っぽい彼の全てが好きだ。
勿論普段の彼も好き。
目の前の白い肌に擦り寄ると彼はふっと笑って私の頭を撫でた。
貴方「……御免ね」
中也「いいって。それに、あの傷で騒ぐならマフィアの幹部なんてやってらんねぇよ」
貴方「それもそうだね」
悪いとは思ってる。でもそう言われると何だか大した事でもなかったかなぁなんて。
貴方「あ…!中也、お仕事行かなくていいの?」
中也「ん?あぁ。今日は忙しくねぇから家でやる。だからまだいいだろ」
貴方「良かった。何時もより起きるの遅かったから」
中也「最近遅くまで仕事してること増えたし、昨日からは家でも仕事みてぇなモンだし、疲れてんのかもしんねぇな」
確かにここに来た時より遅くまで仕事をしてる事が増えた。
目の下に隈を作る事も増えた。
彼が寝不足の時は決まって煙草の本数が増えたり、お酒を飲む事が増えたりする。
お酒は直ぐ酔っちゃう体質みたいだから控えてほしい。
でも好きならしょうがないか。
彼が酔ってる時、隠れて一口貰ったけど美味しいのはわかる。葡萄酒、だっけ?意外と美味しかった。
けど、疲れてるからってヤケになって飲むのはやめて欲しい。
貴方「無理しちゃ嫌だよ。中也頑張り屋さんだから心配」
中也「Aと居る時は楽にしてれるし大丈夫だ」
ふぁぁっと彼が欠伸をする。
昨日だって途中でやめたものの、遅くまでやってた訳だし疲れてるに決まってる。
中也「ちょっと寝る」
うん、と小さく返して彼の背をゆっくり撫でる。
すると彼はふぅっと息を吐いて確り私を抱き寄せた。
少しして規則正しい息遣いが聞こえてきた。
…私も寝よう。
彼の確りした胸に顔を埋めてまた眠りについた。
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紅野(プロフ) - ソリバさん» いつもありがとうございます…!続編になりそうな気もしますが、もう少し考えてみますね。 (2017年11月7日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
ソリバ(プロフ) - いつも楽しみにしてます!できれば続編お願いします!! (2017年11月7日 14時) (レス) id: c80ce2fe4d (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - ニャン将さん» ありがとうございます!もう少し検討させてもらいますね…! (2017年11月6日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 埃さん» いい作品だなんてありがとうございます…!何ででしょう… (2017年11月6日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
ニャン将(プロフ) - 続編希望します!! (2017年11月6日 18時) (レス) id: a5f5e3b412 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2017年9月2日 16時