六十三言目 ページ18
もし中也が少しでも瑞希さんを好きだと思ってるなら……。
今日瑞希さんと話をしてついそんな事ばかり考えてしまう。
強気な事言ったけどやっぱり怖くになる。
私の好きだけが一人歩きしていないか不安。
そのせいで何だか自分が嫌になる。
もういっそ死んでしまいたい。
テレビを見ながら考え事をしている彼に後ろから抱き着く。
中也「どうした、A」
彼の首筋に頭を埋めると髪を撫でられた。
不安の中を漂って死にたくなる。
もう死にたいなんて思わない様にしようと思ったのに。
先生の所に、なんて考えない様にしようと思ったのに。
貴方「中也、私の事、好き……?」
中也「何だよ、突然」
貴方「……別に」
中也「何かあったンだろ」
貴方「……無いって言ったら嘘になるけど、あるって言ったら苛々するから無いって事にして」
中也「何だそれ」
くすくすと笑って私の手を握った。
普段ならこれで多少不安は和らぐのに今日は全くだ。
中也「どうせ瑞希に何か言われたんだろ。気にすンなって」
貴方「気にするよ。見た目なら瑞希さんの方がタイプでしょ?中身はどうであれ。だからもし私が中也の嫌な事したら直ぐに嫌いになっちゃうんじゃないかって」
中也「何で俺が手前を嫌いになるンだよ」
貴方「嫌いにならない確証はないでしょ。それに私、瑞希さんみたいに美人じゃないし」
中也「比べ過ぎだろ。何方にしろ瑞希より手前の方が上だ」
貴方「何処が」
少し目線を上げると彼が此方来い、と隣を指した。
大人しく離れて彼の隣に座る。
抱き寄せる手が何だか新鮮で少しドキドキする。
中也「俺の言う事、そんなに信用できねェか?」
貴方「そうじゃないけど不安になるの」
中也「なら俺にずっと異能使ってればいいだろ」
貴方「聞きたくない事まで聞こえたらやだもん」
特に瑞希さんの事とかね。
中也がどれだけあの人の事考えてるかなんて知りたくない。
中也「じゃあどうすりゃいいンだよ」
貴方「それがわかってたらこんなに死にたくならないよ」
何をしたらこの不安が消えるのかわからない。
目の端に溜まっていた涙が限界を超えて落ち始めた。
彼はその涙を拭いながら何時もより優しい声で話しだした。
中也「前にも言ったが、手前に先生を返してやる事はできねェ。でもその分俺が手前を愛すから。此れは嘘じゃねェ」
私を捉えて離さない青い瞳は真剣そのものだった。
この眼を見たのは何度目だろう。
私を闇から救ってくれる眼。
そこに吸い込まれる。
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鶴媛(プロフ) - 紅野さん» わぁ!ありがとうございます!!お忙しいのに私の勘違いですみません!更新嬉しかったです、暑い日が続きますがどうかお体に気をつけてお過ごし下さい。 (2020年8月18日 1時) (レス) id: dda77e3f70 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 鶴媛さん» コメントありがとうございます。いえいえ!忙しくて更新が止まってしまっただけです!また空いてる時間で更新するのでご安心を…! (2020年8月18日 0時) (レス) id: b4d088780f (このIDを非表示/違反報告)
鶴媛(プロフ) - え、八十五話で終わりなんですか?かなり気になるところで終わってしまって少し残念に思います (2020年8月17日 4時) (レス) id: 5d76437753 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 橘明音さん» ありがとうございます。そう思ってもらえて良かったです。ゆっくりですが頑張りますね。 (2020年3月2日 11時) (レス) id: b4d088780f (このIDを非表示/違反報告)
橘明音(プロフ) - 最後のコメントありがとうございます。 私は受験終わったけど学校なくて本当に暇だったのでそう言って書いてくださること、本当に嬉しいです!更新楽しみにしてます。頑張ってください! (2020年3月1日 23時) (レス) id: 0fca2029db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2019年2月6日 15時