安心できる場所 ページ9
嗚呼、自由とは暗闇だ。
生きる理由を見つけるだけで精一杯だったのに、好きにして良いなんて困る。
今はこのお世辞にも広いとは言えない部屋に置いてもらえるだけで良い。
だからどうもしなかった。
彼の事を信用しきってる訳じゃない。
でも彼と一緒にいれば何かを見つける事が出来るような気がした。
貴方「……太宰さん。僕はあなたの事を信用しても良いんですか」
太宰「それは君が決める事だ」
貴方「分からないんです。周りに流されて生きてきたから、自分の行く先を選ぶなんてしたことないんです」
太宰「でも、これからは自分で決めるしかないんだ」
自分で…。
『あなたは何もしなくて良いのよ』
『黙って名に恥じない様に生きなさい』
『先の事は何も心配しなくていいわ。私が決めてあげる』
例え僕には不利な事でも全部親が決めていた。
それを突然自分でだなんて…。そう思うと涙が込み上げて来た。
貴方「そんなの…怖いじゃないですか…。母さんにも父さんにも名前を汚す事は許されてないんです…!あの人達は何時も僕に失敗を許さなかった」
太宰さんは泣き出した僕の背中を擦りながら優しく手を握った。
太宰「…少し追い込み過ぎたね。ものによっては時間をかけても良いんだよ。それに、親とは随分会ってないんだろう?なら名前で自分の首を絞める事もやめたらいいじゃないか」
貴方「何もわからないんです…。自分が生まれてきた意味も、生き方も何もかもが」
太宰「そんなに大きな事背負い込む必要ないんだよ。今の君は自分に負荷をかけすぎてる。…ほら、深呼吸して」
言われた通り息を吸い吐く。
でも現実への恐怖と長年背負わされてる重荷のせいで涙は止まってくれなかった。
何時だって両親は僕を望まない子とし、自分達の名に恥じない様に厳しく育てた。
そのせいで僕は泣く事も笑う事も自由も許してはもらえなかった。
貴方「……ねぇ、太宰さんでいっぱいにしてよ。そうすれば太宰さんさえ居れば生きていけるから」
太宰「わかった。全部私が受けとめて、塗り替えてあげる。もう楽にしていいよ」
その言葉に身も心も委ねてしまえば彼無しでは生きて行けなくなる。
そう分かってい乍らもそうせざるをえなかった。
暫くして落ち着いた僕を抱き締めた儘彼は欠伸をした。
貴方「眠いの?寝てもいいのに」
太宰「じゃあ一緒に寝てくれるかい?」
貴方「僕でいいなら」
彼はふふっと笑って僕を抱き締めた儘布団に横になった。
彼の腕の中が一番安心できる。
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二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» いえいえ(*´-`)元々好きな作品なので読みづらくなるのは嫌だったので助かりました(*´∀`) (2018年9月27日 23時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 二次元好きのAliceさん» 見つけられたみたいで良かったです。こちらこそ面倒な作業をしてまで見てくださってありがとうございます…!頑張らせてもらいます…! (2018年9月27日 0時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» 丁寧に教えて頂いたお陰でなんとかなりました!ありがとうございます(*´ω`*)これからも更新頑張って下さい(*´∀`) (2018年9月26日 22時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 外都騒川さん» こっちにもありがとうございます…!そう言って貰えるととても嬉しいです!私の書いているもので何か参考になれていれば、それは私にとって贅沢です笑 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
外都騒川(プロフ) - 面白いです、僕もこんなお話書けるようになりたい。アンケートでも書いてしまったんですが続きが楽しみです。 (2018年9月25日 21時) (レス) id: 463bf4e276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2017年9月24日 22時