検索窓
今日:3 hit、昨日:7 hit、合計:192,646 hit

価値のない ページ5

太宰「君、親は?」

貴方「居ます。否、居ました」

太宰「今は居ないのかい?」

貴方「居るけど……。今、話さなきゃ駄目ですか?」

太宰「……じゃあ、もし、私が生き方を教えてあげるって言ったら全部話してくれるかい?」

貴方「それなら」

太宰「わかった。じゃあ教えてあげる」

貴方「本当ですか?」

太宰「君は先刻生きる理由も資格もない、と言ったね。じゃあ私の為に此処にいて、私の為に生きるってどうだい」

貴方「太宰さんの為に…。良いかもしれない」

だってこんな不思議な人会ったことない。
初対面なのに血を飲んでいいと言ったり、生きる理由になると言ったり。
興味しかない。もっとこの人を知る為に生きたい。

太宰「それは良かった」

貴方「……でも太宰さんは良いんですか」

太宰「何がだい?」

貴方「こんな何の取り柄もない、寧ろ損しか生まないようなヤツを此処に置いといて」

太宰「それはまだ会ったばかりだからわからないよ。でもね、君を一人にしたくないと思ったんだ」

貴方「…そうですか」

変わった人だ。
初対面の相手なのに。

太宰「それで、話してくれる?」

貴方「僕の親の話、ですね。簡単に言うと、僕は捨てられたんです」

太宰「捨てられた?」

貴方「はい。僕の親は二人とも吸血鬼の中ではかなり名の知れた家系の生まれで、名前を継ぐには男の子が必要だったんです」

太宰「でも、生まれたのは君だったんだね」

この人、頭良い。
というか、理解力がある。
何を考えてるのかよく分からない人だけど、見た目以上に確りしてる。

貴方「…そうです。仕方なく育てられた僕が六歳の時、弟が生まれたんです。両親は見たことないくらい嬉しそうでした…。そして邪魔になった僕は親戚の家に引き取られたんです」

太宰「なるほど。可哀想に」

貴方「同情されても嬉しくないです。して欲しいとも思いませんし…」

太宰「本当は?」

貴方「はい?」

太宰「本当はどうなの?」

本当は……。
でも本音を言ってしまったら僕の中の何かが狂ってしまうような気がする。
それに、太宰さんを信用しきってる訳じゃない。

貴方「……別にどうもしないです」

太宰「…そう。御免ね、無理矢理聞いてしまって」

貴方「此処に置いてくれるなら安いもんですよ。親の話なんて僕にとって価値のない話なので」

そんなに親の事は覚えてない。
会ってないし、話も聞かないし。
でも、ちょっとだけ恵まれてる弟が羨ましいかも…。
…嘘。きっと気のせいだ。

空に紫を思い浮かべて→←僕は



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (178 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
498人がお気に入り
設定タグ:文スト , 太宰治 , 紅野
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» いえいえ(*´-`)元々好きな作品なので読みづらくなるのは嫌だったので助かりました(*´∀`) (2018年9月27日 23時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 二次元好きのAliceさん» 見つけられたみたいで良かったです。こちらこそ面倒な作業をしてまで見てくださってありがとうございます…!頑張らせてもらいます…! (2018年9月27日 0時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» 丁寧に教えて頂いたお陰でなんとかなりました!ありがとうございます(*´ω`*)これからも更新頑張って下さい(*´∀`) (2018年9月26日 22時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 外都騒川さん» こっちにもありがとうございます…!そう言って貰えるととても嬉しいです!私の書いているもので何か参考になれていれば、それは私にとって贅沢です笑 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
外都騒川(プロフ) - 面白いです、僕もこんなお話書けるようになりたい。アンケートでも書いてしまったんですが続きが楽しみです。 (2018年9月25日 21時) (レス) id: 463bf4e276 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紅野 | 作成日時:2017年9月24日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。