体温を感じながら ページ15
貴方「だから太宰さんは僕をそばに置いてくれるの…?」
太宰「そうかもしれないね。昔の自分を見ているようで放っておけなくて」
貴方「……。夢を、見たんです」
太宰「夢?」
貴方「両親と…弟がいました。両親が僕の事をもう要らないって言ってた」
太宰「だから先刻あんな事を?」
頷くと太宰さんはそっか、と呟いて僕の手をしっかり握った。
太宰「それは辛かったね」
僕ってこんなに精神弱かったっけ。
……今までが強がり過ぎてたのかな。
その後家に帰ってからも何故か太宰さんから離れたくなくて、ずっと彼の近くにいた。
太宰「どうしたの?今日は何時もよりべったりだね」
珍しくお酒を飲みながら寄り掛かる僕に問いかける彼。
割と飲んでるけど酔ってる気配はない。
お酒強いのかな……。
貴方「別に何かあるわけじゃないけど……」
太宰「けど、何?」
貴方「……離れたくない」
それを聞いて彼は小さく笑ってそう、と呟いた。
何故こんなにも彼の近くにいたいのだろう。
彼に初めて会った時は死にたくて堪らなかったのに、今は彼がいるなら生きるとか死ぬとかどうでも良い気がする。
でも何時までも一緒にいてくれるとは限らない。太宰さんは美形で高身長で頭も良い。だからきっと彼女の一人や二人、否、この人ならもっと作りそうだけど……。まぁ、女の人なんて選び放題だろうし自分から探さなくても集まってくるだろう。つまり言いたいのは、僕なんか太宰さんが好きな女性を見つけてしまったら捨てられるに決まってる。
太宰「A、ここおいで」
彼が指差したのは胡座をかいた足の上で、言う通りに座ると空いていた左手でぎゅっと僕を抱き寄せた。
貴方「何?」
太宰「ただもっとくっつきたいと思っただけだよ」
優しい声。
それを聞いて初めて僕は自分にも欲があることに気づいた。
……彼に愛されたい。
言えと言われない限り口に出すつもりはない。だから思うだけは許してほしい。
彼の優し過ぎる声や言葉や仕草の端々にある知らない何かがもし愛だとするなら、僕はそれを独り占めしたい。そこまで出来なくてもいいから、一時で構わないから僕だけに注いでほしい。
我儘や欲を言うつもりはない。
彼が近くで名前を囁いてくれるだけでいい。
それだけでも今までに比べたら何百倍も幸せだ。
そう無理矢理結論づけてまだお酒を飲み続ける彼の身体に背中を委ねた。
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二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» いえいえ(*´-`)元々好きな作品なので読みづらくなるのは嫌だったので助かりました(*´∀`) (2018年9月27日 23時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 二次元好きのAliceさん» 見つけられたみたいで良かったです。こちらこそ面倒な作業をしてまで見てくださってありがとうございます…!頑張らせてもらいます…! (2018年9月27日 0時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» 丁寧に教えて頂いたお陰でなんとかなりました!ありがとうございます(*´ω`*)これからも更新頑張って下さい(*´∀`) (2018年9月26日 22時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 外都騒川さん» こっちにもありがとうございます…!そう言って貰えるととても嬉しいです!私の書いているもので何か参考になれていれば、それは私にとって贅沢です笑 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
外都騒川(プロフ) - 面白いです、僕もこんなお話書けるようになりたい。アンケートでも書いてしまったんですが続きが楽しみです。 (2018年9月25日 21時) (レス) id: 463bf4e276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2017年9月24日 22時