【文スト】彼に好きとは言えない【太宰治】

好き？×３４ ページ38

あの話をしてから数日。
何時も通り生活をしている。
彼から貰った通帳と織田さんのお金はとりあえず保留している。

そして今日はちょっとした約束が。
太宰には言えないけどね。
今日は当番じゃないけど私の働くバーに向かう。
ここが落ち着くしここがいいから。

貴方「あ、待った？」

店の前で待ち合わせしていた中也を見つける。
この前のタクシー代。

中也「待った」

貴方「ごめんごめん」

店に入りカウンターの端に座り店長に注文をする。
二人で来る時は何時もこの席。
話しやすいから。

中也「で、どうだ、最近」

貴方「色々あったよ。まぁほぼ借金関連」

中也「そうか。…その話なんだけどよ」

貴方「私の借金の話？」

短くおう、と返した中也の表情はどことなく仕事顔だった。
こういう時くらい仕事のこと忘れればいいのに。

中也「お前が金返してる所がちょっとうちに手出してきやがってな。今首領がどうするか考えてる」

貴方「……潰す？」

中也「かもな」

意外にも私に関係する話だった。
店長が出してきたお酒を飲みながら潰れてくんないかなぁなんて考える。

貴方「えー、じゃあ今月分まだ払わないどこ」

中也「滞納すんぞ」

貴方「それはもうしてる。四年前くらいに」

中也「言ってたな。探偵社入るまでの間だろ」

貴方「太宰には秘密ね。言ってないの。返済額上がってる話はしたけど」

中也「あんだけ渋ってた癖に」

貴方「言うしかなかったからね。それでね、」

この前の太宰の通帳の話とか、織田さんの話とかを彼は相槌を打ちながら聞いた。
私は話しながら数杯飲んだせいか少し酔いが回ってる。
中也はそんなに飲んでないからそうでもない。

中也「飲みすぎ」

貴方「そんなこと無いよ。ねぇ、お兄ちゃん」

中也「いや、酔ってんだろ」

貴方「あのさぁ」

中也「何だよ」

貴方「太宰とね、付き合ってそこそこ経つじゃん？なのにさぁ、一回も好きって言ったことないんだよねぇ」

中也「その惚気話普通お兄ちゃんにするか？」

貴方「するぅ」

中也「はぁ……。いいんじゃねぇの？お前のタイミングで」

貴方「お兄ちゃんは彼女いたら言われたい？」

中也「……まぁないよりは」

貴方「そっかぁぁ…。言いたいんだけどなぁ」

中也「じゃあ何で言わねぇんだよ」

貴方「…恥ずかしいから」

中也「それは頑張るしかねぇな」

やっぱりそうなのかなぁ。なんて呟いて、何でお兄ちゃ…中也相手にこんな話してんだろうと溜息を付いた。

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