好き?×32 ページ36
大きな頭痛で目が覚めた。
動きたくない。怠い。
昨日、どうやって寝たんだっけ…。
いつ、寝たんだっけ…。
何も憶えてないや…。
ふと背中が暖かく感じた。
お腹に回されてる手。
…太宰だ。
体を起こそうにも怠くて上がらない。
やっとの思いで少し起き上がっても、激しい頭痛でまた戻ってしまう。
太宰「辛いんだろう?寝てていいよ」
耳元で囁くように言われる。
きっとわかってるんだ。
体調良くないって。
太宰「今日は休もう。無理したら良くないからね」
そう言って太宰は携帯を持って出て行った。
大きい音や声が頭に響くのを避ける為だろう。
優しい。
その儘また夢の中に落ちていく。
次に目が覚めた時にはもう日は上がりきっている頃だった。
怠さは少し残るものの頭痛は消えている。
起き上がると視界の端に太宰が見えた。
貴方「……太宰、仕事は?」
太宰「ん、起きたかい。君の体調が心配でサボった」
貴方「えっ」
太宰「嘘だよ。国木田くんにAの体調が良くないから休ませるって言ったら、一人じゃ心配だからついてろって言われたの」
貴方「そう、なんだ」
太宰「体調はどうだい?」
貴方「ちょっと怠い。でも朝よりはいいよ」
太宰「そう。良かった。…ちょっと真面目な話したいのだけれど」
貴方「何?」
テーブルを挟んで彼の向かいに座る。
彼は少し目を伏せた。
太宰「…驚かないでね。これ見てもらいたいんだ」
彼がテーブルの上に出したのは一冊の通帳。
どういう事だろう。と彼を見ると開いてみてと渡された。
中には金額はまばらでも必ず毎月入金されているのが記されていた。
一番最後の日付は先月。そこまで一度も引き落としていない。総額数千万。
貴方「どうしたの、これ」
太宰「ずっと貯めていたんだ。何時か君がどうしても困った時に出してあげようと思って。他に使う所も無い訳だし」
貴方「私の、為に…?」
一番最初の日付は彼が幹部になる少し前。
そんなに前から彼は私の事を気にかけてくれていたんだ……。
なのに一方的に私は嫌っていた。
羨ましさとか嫉妬とかそんな下らないことで。
太宰「そうだよ。君の意思を尊重して今まで黙っていたけど、もうそういう訳にもいかないだろう?使ってよ。それは君のだ」
貴方「でも…!こんなに沢山」
貰えない。
でもその言葉は彼の声に被って消えていった。
太宰「良いんだよ。君に使ってもらいたいんだ。…ねぇ、もし君の借金が無くなったら………」
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自殺したい - 返信ありがとうございます!!私も今初めて小説を書いていますが難しいですね、、、。中3の頭ではキツいです、、。 (2017年10月30日 23時) (レス) id: 97c9eaf3cf (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 自殺したいさん» ありがとうございます…!最近はペースが落ちてきてますが気長に待ってもらえると有難いです…! (2017年10月25日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 味の素さん» 返信遅くなりましたが、ありがとうございます…! (2017年10月25日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
自殺したい - めっちゃいい話ですね。。。大好き。。 太宰さんがかっこいいーー!!泣いちゃいました。何回見ても飽きな!! これからも頑張ってください! 続きを楽しみにしながら腕に包帯を巻いておきます!!! (2017年10月25日 16時) (レス) id: 97c9eaf3cf (このIDを非表示/違反報告)
味の素(プロフ) - 更新がんばってください!応援しております! (2017年10月1日 22時) (レス) id: d5befd4dfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2017年8月25日 23時