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三十七言目 ページ41

彼の作ってくれた遅めの朝食を食べて着替えた。
洗面所で髪を直しているとふと彼の煙草の匂いがした。

中也「どうした」

もう支度を終わらせた中也が後ろから抱きついてきた。
夢でも見てるみたいだ……。

貴方「ねぇ、煙草吸った?」

中也「ん?あァ。昨日手前が寝てる間な」

貴方「そっか」

中也「嫌か?」

貴方「ううん。全然。寧ろ自分から中也の匂いするの嬉しい。でも、つけなかったんだね」

彼の髪を指に絡め乍ら先刻から思っていた疑問をぶつける。
きっと髪なおした後なんだろうな。
まぁいいや。それくらい許してくれるよね。

中也「何を?」

貴方「接吻マーク。中也ならやると思ったのに」

中也「仕事に影響出るだろ」

貴方「別に良いのに。バレなきゃいい事だし」

中也「商売道具だろ。大事にしろよ」

貴方「中也だから良いって言うんだよ?中也には私にそうできる権利があるでしょ?」

中也「良いのかよ。そんな事言ってたら本当にするかもしンねェぞ」

貴方「我慢する必要なんてないよ」

知ってる。実は中也って束縛したがる人だって事も、嫉妬しやすい性格だってのも。
酔った時の彼がそうだったから。

じっと鏡越しに目を見ていると彼は向き合う様に私の手を引いた。

中也「本当に我慢しねェけどいいんだな」

貴方「いいよ」

それを聞くと中也は私のシャツの釦を外しだした。
三つくらいまで外すと少し屈んで見えない胸元に跡をつけた。
この小さい痛みには十分慣れてるから何ともない。
ただ、それをしてるのが中也だと思うと何だか此方が恥ずかしくなってくる。
好きだから。
良く知りもしない男にされたなら興味ないし不快だから早く消えてくれと思うけれど、中也のは中也がつけたんだと思うだけで嬉しいし恥ずかしくなる。人を好きになるってそういうものだと思う。

中也「一箇所だけで我慢すっから。この前のもあるしな」

そう言って今つけた所から消えかかった方に彼の手袋をした手は滑っていった。
そういえばこの前もされたんだった。あの時瑞希さんにもするんでしょ、なんて言ったのが今になって申し訳なくなってきた。

貴方「ねぇ、私だけだよね。こんな事するの」

中也「当たり前だろ。寧ろして良いのかよ。する気はねェけど」

貴方「嫌だけど仕事ならしょうがないと思ってる。…この前された時に瑞希さんにもこういうのするんでしょって言ったでしょ?ごめんね。そんな事なかったのに」

中也「いいよ。あれはそんな風に言わせた俺が悪い」

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設定タグ:文スト , 中原中也 , 紅野   
作品ジャンル:恋愛
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紅野(プロフ) - お白湯さん» コメントありがとうございます。やっぱり同じになる人多いですよね。いつも名字つけようか迷ってつけるのですが読む人にとったらどうなんでしょうか……。 (2019年1月13日 22時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
お白湯 - 夢主ちゃんの名字が、私の本名の名字と読み方違うだけでびっくりしました(笑) (2019年1月13日 1時) (レス) id: fa6e0c5cd0 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 聖宮さん» ありがとうございます!頑張って書こうと思います! (2018年10月1日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
聖宮(プロフ) - 寧ろ書いて欲しいです、続編楽しみに待ってます! (2018年10月1日 20時) (レス) id: 956436ae5b (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 月詞さん» ありがとうございます!いつもゆっくり更新ですが頑張りますね! (2018年9月28日 19時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅野 | 作成日時:2018年4月15日 0時

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