十六言目 ページ19
自分のデスクをひっくり返しても昔使っていた銃は出て来ず、思い当たる所は探しきってしまった。
でも誰かにあげたりもしてないし……。
んーと悩んでいるとノックの音が部屋に響いた。
はぁいと適当に返事をすると入って来たのは菊池さんだった。
菊池「あ、お久しぶりです」
貴方「今日はどうしたの?」
菊池「この前借りた資料を返しに来ました」
貴方「あぁ。有難う」
資料の束を受け取って棚に戻しながらやっぱり何処に仕舞ったか心当りがなく、今日は諦めようかと小さくため息を吐く。
菊池「あ、あの、聞いてもいいですか」
貴方「何を?」
菊池「中原幹部とはどういった関係なんですか」
貴方「どうって……昔から知ってる仲で、今はただの幹部と情報整理担当ですよ」
何故そんな質問が出るのかと思いつつ返すと彼は納得いかない様に返事をした。
菊池「そう、ですか」
貴方「何かありましたか?」
菊池「いえ、僕の勘違いみたいなので」
貴方「勘違い?何が?」
私が問うと視線を泳がせ、諦めたのか決心がついたのか口を開いた。
菊池「……何だか今、上西さんから中原幹部の匂いがした気がして」
貴方「え、嘘」
そんな事言われたら嬉しくなってしまう。
あ、そっか。朝抱き着かれてるからか。
きっと菊池さんの言う中也の匂いというのは煙草とか香水の混ざり合った匂いの事だろう。
……ん?だったらおかしい。
確かに煙草は吸ったらしく、リビングには匂いが染み付いていた。でも私が泣いてた時、彼は寝起きだった。だから彼が香水をつけてるはずがない。何時も着替えて家を出る前につけるから。
この人何か企んでる……?
菊池「上西さん?」
貴方「あ、ごめん。考え事してた」
菊池「いえ。あの、もし良ければ今度一緒にお昼とか、どうですか」
この人、私に気がある。
もしくは、そう思わせといて利用しようとしてる。
どちらにしろ中也にしか興味ないから靡かないけどね。
貴方「私と?」
菊池「はい」
貴方「気が向いたらね」
途中まで騙されてあげる。
男はみんなそう。女が自分に騙されてるのが嬉しくて堪らない生き物なの。
菊池「絶対向かせてみせますよ」
貴方「それは楽しみだわ」
菊池「では、失礼しますね」
男はみんなそう。
普通の男は、ね。
って言うのは中也はわからないから。
彼が私をどうしたいのかが。
私は彼のしたいようにされたい。
彼が喜ぶなら何だってする。
でも、中也の本心が知りたい。
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紅野(プロフ) - お白湯さん» コメントありがとうございます。やっぱり同じになる人多いですよね。いつも名字つけようか迷ってつけるのですが読む人にとったらどうなんでしょうか……。 (2019年1月13日 22時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
お白湯 - 夢主ちゃんの名字が、私の本名の名字と読み方違うだけでびっくりしました(笑) (2019年1月13日 1時) (レス) id: fa6e0c5cd0 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 聖宮さん» ありがとうございます!頑張って書こうと思います! (2018年10月1日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
聖宮(プロフ) - 寧ろ書いて欲しいです、続編楽しみに待ってます! (2018年10月1日 20時) (レス) id: 956436ae5b (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 月詞さん» ありがとうございます!いつもゆっくり更新ですが頑張りますね! (2018年9月28日 19時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅野 | 作成日時:2018年4月15日 0時