検索窓
今日:16 hit、昨日:8 hit、合計:375,307 hit

十一言目 ページ14

家を出たのはギリギリ日付が変わる前後だったというのに、もうすぐ家に着く現在は午前四時半。
どういうこと。
確かに最初の二時間くらいはお酒飲んで話してただけだけど!情報は取れたけど!もう空明るくなって来たよ!
……寝不足でテンションおかしいや。自分が何言ってるかもわからなくなってきたし。

これから寝ても寝れて二時間半から三時間。でももう一回お風呂入らないと触られた感覚が残っていて気持ち悪い。
別にその感覚が消える訳じゃないけど何もしないより気分的には多少良いじゃん?
あと着替えるのと化粧落とすのと……。寝れないな。

ため息を吐き乍らカバンから鍵を出し。寝てしまいそうになるのを頑張って耐えてドアを開けた。

貴方「只今……」

って言っても寝てるよね。
静かに鍵を閉めて靴を脱ぐ。
リビングを覗くと半分程まで減ってる安物のワインボトルとテーブルに突っ伏して寝ている中也がいた。
もしかして私が出た後ずっと飲んでたの……?
やっぱり何かあったのかな。
とりあえず風邪を引かれては困るので近くにあったブランケットを掛けて風呂場に向かう。


化粧を落とす為に鏡に向き合い、面倒だと思いながらも手を進める。
ふと見て初めて気づいた左の首筋についた赤い痕。

貴方「え……嘘でしょ……」

ゆっくりと触れてみると鏡の中の私も同じ様にその痕に触れる。
最悪だ。気づかなかった。何時の間に……。
好きでもない男に触れられる事すら本当は嫌なのにこんな土産まで貰ってしまうとは……。

その後は見ない様にし乍らさっさと風呂を出て雑に髪を乾かして彼のいるリビングに急いだ。
きっとまだ寝てるだろうし何かして欲しい訳じゃないけど、何故か理由もなく人のいる所で泣きたくなった。
理由がわからなくなる程に色んな物が混ざり合い、怖くなったからだ。

やっぱりまだテーブルに突っ伏した儘の彼の横に座って彼を起こさない様に声を抑えながら泣いた。
ただ時間が過ぎていく。
助けて欲しいのに何が原因か、何から助けて欲しいのかよくわからない事が怖い。
その怖いという感情さえも何だか恐ろしく感じて、と恐怖が交差していく。
自分を見失ってしまう様な、自分とは何かわからなくなっていく様なそんな恐怖に飲まれていく。




あれ、この感覚、知ってる。
昔にも何度かなった事がある。
あの時は隣に太宰がいた。
でも今は誰もいない。




誰も。




誰も私を知らない。






誰か、助けて。

十二言目→←十言目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (259 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
637人がお気に入り
設定タグ:文スト , 中原中也 , 紅野   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

紅野(プロフ) - お白湯さん» コメントありがとうございます。やっぱり同じになる人多いですよね。いつも名字つけようか迷ってつけるのですが読む人にとったらどうなんでしょうか……。 (2019年1月13日 22時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
お白湯 - 夢主ちゃんの名字が、私の本名の名字と読み方違うだけでびっくりしました(笑) (2019年1月13日 1時) (レス) id: fa6e0c5cd0 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 聖宮さん» ありがとうございます!頑張って書こうと思います! (2018年10月1日 23時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
聖宮(プロフ) - 寧ろ書いて欲しいです、続編楽しみに待ってます! (2018年10月1日 20時) (レス) id: 956436ae5b (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 月詞さん» ありがとうございます!いつもゆっくり更新ですが頑張りますね! (2018年9月28日 19時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紅野 | 作成日時:2018年4月15日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。