先輩はイーシンさん Part２ (ページ29)

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過去② ページ29

6月に入ったくらいから、タオに告白する女の子たちが急増した。

でもタオは｢僕、好きな女の子がいるんだ。僕はその子しかダメなの。｣って断ってたんだって。

女子たちはどんどんタオに振られていく中で、タオの好きな人は私、Aなんじゃないかって噂が広まった。

後から聞いた話だと、それが原因みたい。

女子たちにはそれが許せなかったみたいで、私は無視されるようになった。

でも男子たちは違くて、いつも通り私に話しかけてきてくれる。

私は席が隣になった男子と仲良くなって、教科書を見せてあげたり、消しゴムを貸してあげたりとか、ちょっと優しくしてあげてた。

ただの善意だった。

あのジョンソくんにも。

その善意が誤解を招いてしまって、男子からは告白される回数がぐんと伸びてしまった。

それもまた誤解を招いてしまって、女子には｢あいつ絶対男好き。｣って言われるようになってしまった。

当時、私はそれが原因だって分かってなかった。

陰口を叩かれること、無視されることは辛かったけど、でもタオも男子たちもいつも仲良くしてくれたから、女子たちの陰口もすぐに無くなるだろうなって思ってた。

けど陰口は止むことなく、どんどんヒートアップしていった。

中1の終わりくらいには、いわゆる “いじめ” に発展していた。

歩くと足を引っかけられて転んだり。

髪の毛を引っ張られたり。

｢あっ。ごめーん。手が当たっちゃった。｣なんて言って、頭や腕、体のあらゆる所を叩かれたり、殴られたり。

トイレに入ったら、ドアが開かないようにされたり。

みんなタオがいない所でやるから、タオは私がいじめられてる事になんて気がつかない。

気がついて欲しかった訳じゃないんだけど…

気がついてくれればどんなに楽かな。って想像してた。

クラスが変わればなくなるから。そう信じて、毎日頑張って登校してた。

でも…

そんなのは夢だった。

メンバーは変わったけど、元同じクラスだった子からどんどん噂が広まっていって、

新しく仲良くしてくれようとしていた女子も、いじめ役に回っていった。

もういやだ。友達も先生もタオもみんな嫌い。

そんな世の中大嫌い。

明日から学校なんて行かない。そう決めていた時に奇跡が起こった。