全然知らない天使「APH」 (ページ3)

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愛の歌が電子音が響いたのは重苦しく静まり返った会議場の中だった。ラトビアはピャッと飛び上がる。
「すいません、僕です！」
何をされたというわけではないがびくびくぶるぶる。典型的いじめられっ子な彼は存外に可愛らしい顔立ちである。その可愛らしさは加虐精神を煽られるもので、だからロシアはことさらにラトビアを可愛がったのだろう。
「今回は見逃すけどちゃんと電源は切っておくんだぞ！罰にスピーカーモードだぞ！」
というかベッタベタのラブソングを着信にするとは恋人か？いやあいつ見た目十七くらいだし。見た目にあってていいじゃん。だからこそのスピーカーモードだぞ！そんな声が聞こえて思わず
「好きな人とか、そういう対象になりそうな人すらいないんですか？」
と言ってしまう。同僚のエストニアが
「ラトビア！」
と叫んだ。
しかし声の主たちはラトビアの失礼な物言いよりもそういう「恋人」なる人が自分にいないこと、そしてそれがラトビアに入ることにショックを受け、いじいじとのの字を書いていた。

『今日は、天使くん』
そう流れる声は優しく、それでいてはきはきとした、可愛らしい声。ロシアがあれっという顔をした。
『答えてくれないの？』
「すみません！」
反射的に謝ってしまうが、しかし相手にはかっこいいところを見せたい。

だってその人に恋してるんだもの。