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「つ、遂に……」





震える手で、筆先をインクで浸す。

ページの締めにエンドの文字を綴り、僕は万年筆を机に置いた。













「完成したぞーっ!!!」







あれから数日。

エンディングが浮かばないままの台本を、僕は漸く完成させることができたのだ。







誤字脱字が無いことを確認後、机に散らばった紙をまとめて冊子にする。


まだタイプライターで打ち込む作業をしていないけれど、今日はひとまずここまでにしよう。






「……ルカくんのおかげだな」






彼の優しい笑みを思い浮かべ、僕は台本を抱き締める。



「……って、何だこのポーズ。僕は恋する乙女か」





親友として惚れてはいるけれどね!









「……ねむ」




ふわりと欠伸が出る。

…時計を見ると、深夜の二時を指していた。









この夜を越えたら二徹だ。

眠気を通り越して謎のランナーズハイに突入していたが、気がつけば僕はベッドに吸い寄せられていた。





「ああ最高だ──こんなにも素晴らしい脚本が出来上がるなんて!
これは間違いなく…傑作になる!」











睡魔がゆっくりと深層世界にいざなう。


海底に沈むように、僕は意識を落とした。

















僕にしか作れない物語を。


僕だけの表現を。


君と僕の世界を、地獄の狭間の優しい時間(とき)を。






観せるんだ。

作りたい。創りたい。造りたい。






ああ……もし この願いが叶うのならば。









やり直したい。


許されるのならば、もう一度。








チャンスがほしい。


大切な人を悲しませるのは、もう嫌なんだ。














──用心せよ。







彼の声が聞こえた。









──気を付けろ、巨大な蛇が戸口に構えている。

ニュンペーは食われるぞ。




用心せよ。用心せよ。用心せよ。














僕の知らない(・・・・・・)フィルムの奥で、僕のスターと目が合った。

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設定タグ:第五人格 , 囚人 , ルカ・バルサー   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:大二重 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/meernosedona/  
作成日時:2021年3月21日 18時

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