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tn「お待たせしました、どうぞ。」


トントンが林檎を持って部屋に来た
後ろにはコネシマが着いてきていた

綺麗に切られた林檎を目の前に置かれる
皿の隣に置かれたフォークでひとつ口を運んだ

相変わらず固形物は喉を通らない
味がしなくなるくらいまで咀嚼してようやく飲み込めた


tn「…Aさん、ありがとうございました。」


トントンがゆっくり深く頭を下げる
それに続いてコネシマ、座っていたチーノとロボロも立ち上がり同じように頭を下げた

彼等が頭を下げるのは何度目だろうか

彼らは決してプライドが低いわけじゃない
それでも頭を下げるのは仲間が本当に大切なんだろう


『頭を下げるな。』

tn「…今はまだ何もないけど必ず報酬はお支払いします。」


ゆっくり頭を上げながら真っ直ぐこちらを見つめてくる瞳から視線が外せなかった
しばらく見つめ合ったあと短く息を吐いて視線を下に向けた


『報酬は貰わない。』

tn「な、何でですか?」

a「えー!?珍しい!」


椅子を指さして全員に座るように指示をする
全員それが伝わったようで椅子に腰かける


『お前達のおかげで目的が達成しそうだからな。
その目的が達成してしまえば始末人を続ける意味もないし金も必要なくなる。』

a「始末人さん辞めちゃうの!?」

『そうだな。それに今回のことで顔は知れ渡っただろうから、だからもういい。』


握っていたフォークを皿の上に置いて視線は下のまま顔を上げる

目的が達成されれば全て意味が無くなる
金もこの館も服も全部、私には必要が無くなる

必要無いものを受け取ったところで邪魔になるだけだ


ci「…なんで、なんでそんな諦めた目をしとるん?」

『…お前の目には私が諦めているように見えるか。』

ci「炭鉱で沢山見てきた、人生を諦めた人達と同じ目や。
どうせ救いなんてない、幸せになんてなれないって。
…なあ、あんたは何を諦めとるん?」


諦めていることか
その単純な問に答えられなくなってしまうのは何も諦めていないからな
それとも諦めすぎてしまっているのか

いや、どちらも違うな


『私は諦めてはいない。ただ自分を許せないだけ。』

ci「許せない?」

『これ以上話すことはない。部屋から出ていけ。』

ci「ちょ、」

a「はーい、家主の始末人さんが出てけって言ってるんだから素直に従おうね!」


情報屋がみんなを追い出していく
何かを言っていたが言葉を聞き取れない

私は追い出されていく彼らの様子をただ見ていた

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ライ - すごく面白いです!すごく大好きです!主さんのペースでこれからも頑張ってください! (2022年3月27日 22時) (レス) @page9 id: 9516bfdddc (このIDを非表示/違反報告)
千菜(プロフ) - 続編おめでとうございます!この作品リメイク前から大好きです!これからも応援しています!! (2022年3月10日 0時) (レス) @page1 id: 4f425976bb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らい | 作成日時:2022年3月9日 23時

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