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目覚めて1番最初に見たのは見慣れた天井だった
起き上がって周りを見渡すとそこは間違いなく自室
いつの間にか戻ってきたらしい
窓の外は赤く染っていてひと目で夕方であることが分かる
腹に違和感を感じて服を捲る
そこには綺麗に縫合された傷があった
そういえば切られたなと意識が無くなる前の記憶を鮮明に思い出す
あれからどれくらい経っているのだろうか
短針は6を指している
固まってしまった関節と上手く力が入らない筋肉から推測するとそれなりに長い間横になっていたらしい
暫くすると扉が開いてコネシマが入ってきた
目が合って彼は2度3度瞬きした後に大きく息を吸った
kn「あー!!起きとる!!」
思わず耳を塞ぎたくなる大声に目を細める
一気に距離を詰めてくるコネシマに仰け反る
kn「怪我は大丈夫か!?体調は!?何か食べ…れんか!」
『…林檎をひとつ、持ってきてくれ。』
kn「!分かった!持ってくるで待っとれ!!」
そう言って扉を開けたままバタバタと走っていくコネシマ
はあ、とひとつ溜息を吐く
嵐のような男だな
静かになったと思ったらまたバタバタと足音が複数聞こえる
眉間に皺を寄せて足音の正体を待つ
姿を現したのは所々に包帯やガーゼが貼られているロボロとチーノだった
2人は直ぐにこちらに近づいてくる
rbr「ほんまに起きとる!」
ci「大丈夫ですか?」
当たり前のように私の身を案じる2人に違和感を覚える
確か私に会ったばかりの頃の彼らは怯えて近づいてこなかった
なぜこの2人はこんなにも普通に接してくるのだろう
『お前たちは私のことが恐くないのか?』
ci「俺達を助けるために倒れるまで戦ってくれた人を恐れるなんで出来ませんよ。」
rbr「せやぞ。ありがとうな、俺らを助けてくれて、みんなを守ってくれて。」
『それが仕事だったからな。』
そう言うと何か言いたげな2人
それを遮ったのは廊下から聞こえる大きな足音だった
部屋に訪れたのは情報屋だった
扉に手をついて肩で息をしたあと、こちらに視線を移す
目が合って数秒後、情報屋の瞳に涙が溜まった
a「〜ッ!!!始末人さーん!!よかったー!!」
勢いよく走ってきて飛びついてきた情報屋を躱す
壁に頭を打ち付けた情報屋はその場でしばらく悶えてた
a「俺とっても心配したよ!!なのに避けるなんて!!!」
『良い取引先がいなくなるから、だろう。』
a「…そんなことないよ!!」
情報屋は赤くなった額を擦りながら椅子に腰かけた
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ライ - すごく面白いです!すごく大好きです!主さんのペースでこれからも頑張ってください! (2022年3月27日 22時) (レス) @page9 id: 9516bfdddc (このIDを非表示/違反報告)
千菜(プロフ) - 続編おめでとうございます!この作品リメイク前から大好きです!これからも応援しています!! (2022年3月10日 0時) (レス) @page1 id: 4f425976bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らい | 作成日時:2022年3月9日 23時