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気がついたら眠っていたらしく、視界は机のみを写していた
起き上がると机の上に綺麗に切られたリンゴとまだ温かい紅茶の入ったティーポットが置かれていた
そばに置かれたメモには良かったら食べてください、と綺麗な字で書かれていた
リンゴを一欠片、口に運んだ
引き出しに手を伸ばしてひとつのナイフを取り出した
刃渡り20cm、黒の持ち手のシンプルなナイフ
刃こぼれとサビが酷く、もう使い物にならないそれは私が唯一捨てられないものだった
バタバタと聞こえる足音に視線を向けた
バンッとノックなしに部屋に入ってきたのは情報屋だった
a「始末人さんおはよー！元気ー？」
『ノックしろ、情報屋。』
a「ごめんごめん、気をつけるからそんな怖い顔しないでよ。
今日のためにちゃんと準備してきたんだからね！」
『そうか。』
a「少しは褒めてよー！」
まるで子供のように騒いでいる情報屋に耳を塞ぎたくなる
ふと手に持ったままのナイフが視界に入った
それを情報屋に投げ渡す
突然のことではあったがそれを情報屋は難なく受けとった
a「ちょ、ナイフ！？危ないって！これ何？」
『お前にやる。』
a「刃もボロボロだし、サビも酷いし、これじゃ使い物にならないよ。」
『私にはそれを捨てることが出来ない。だからお前にやる。』
a「ふーん…じゃあ貰っておくよ。」
それにしてもボロボロだな、と色々な角度からナイフを眺める情報屋
何かを託すとすれば情報屋しかいない
出会った当初はここまで長い付き合いになるとは思っていなかったが
情報屋は不意にナイフを差し出すように持った
a「ねえ始末人さん、教えてよ。君にとってこのナイフは何？」
聞かれるとは思っていなかった質問に口篭る
情報屋はある程度答えに予想がついているだろう
私にとってそれが何であるか、何の意味を持つのか
偽ったところで意味は無いから素直に答えることにする
『私が初めて人を殺した時に使ったもの、つまり私の罪の始まり。
それがそのナイフだ。
それは捨てることも無くすことも許されない。』
a「なんでそれを俺にくれるの？」
『お前にしか託せる相手はいない。
それにお前ならそう簡単には捨てないだろう。』
a「えー！？もしかして俺の事信頼してくれてたりする？」
『…そうだな。』
そう言うと肯定されるとは思っていなかったらしく、情報屋は顔を綻ばせた
例えそれが私の手元からなくなっても何も変わらないだろうなと情報屋の手にあるナイフをぼんやりと眺めた
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あまね(プロフ) - めちゃ泣いたしもうなんなん？？？ってなるくらい大好きです。完結おめでとうございます😭 (2月13日 16時) (
レス) @page46 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 初めて読んだのですが、一気に見てしまいました。とても面白かったです‼ (2月8日 20時) (レス) @page46 id: 3fb3742587 (このIDを非表示/違反報告)
ふぢ(プロフ) - 初コメ失礼します。最初から最後まで続けて全部読ませて頂きました。読む中で何回鳥肌がたったことが…、本当に素晴らしい作品で思わずコメントしてしまいました。この作品が大好きです。またどこかの作品で出会えることを祈っております。 (2月3日 19時) (レス) @page46 id: a0c70ee8ae (このIDを非表示/違反報告)
オレオ(プロフ) - 完結おめでとうございます。もう壮絶なストーリーで涙が止まりませんでした。読み終わった頃には目はパンパンになって、ティッシュの山ができてました 笑。今まで読んできた小説の中で1番心に残りました…(発想力とか諸々込みで……)本当に素晴らしい作品でした！ (2023年2月3日 22時) (レス) @page46 id: fd2a9300ff (このIDを非表示/違反報告)
無花果 - 完結おめでとうございます。占ツクでこんなに完成度の高い作品に会うのは久しぶりです！ラストは涙が止まりませんでした…本当に素晴らしい作品です！ありがとうございました‼ (2022年12月30日 8時) (レス) @page46 id: 1779bf32c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らい | 作成日時：2022年11月11日 21時
