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シャワーを浴びてベッドに横になってみたが、疲れすぎているらしく眠りにつくことができなかった
妙に冴えた脳や体を落ち着かせるために庭のベンチで月見をする
静寂に包まれた空間を風が通り抜ける
まだ湿っていた髪は、風に吹かれて冷たくなっていた
「体が冷えてしまいますよ。」
後ろから聞こえた声の主は振り返ることなく分かった
『…眠れないのか、トントン。』
tn「えぇ、少し。」
トントンは私が座っているベンチの端に腰かけて苦笑した
その瞳の下には隈が浮かんでいて、しばらくまともに寝ていないだろうということがわかる
『…不安か？』
私の問いに対し彼は驚いたような表情を見せたあと、ゆっくり頷いた
彼は他の奴らよりも責任感が強く仲間思いだ
加えて以前書記長という立場であったためか、彼らを守るという気持ちが強すぎる
守り切れなかったことが相当悔しかったのだろうな
『聞くまでもないか。お前はかつてグルッペン・フューラーの右腕であったと聞く。
彼が今どうしているか、そして他の仲間たちのことが心配でたまらないだろうな。』
tn「…そうやな、すごく不安で仕方ない。今すぐにでもみんなを助けに行きたい。
けど、今の俺にはそんな力はないってこと、誰よりも俺が分かってるんやわ…。」
そういいながら俯いたトントン
生気のない顔は自嘲するようにうっすら笑みを浮かべた
彼から顔を背けながら私は続ける
『そうだな、お前に他の仲間を助け出すほどの力なんて無い。』
はっきりそう告げればトントンは強く拳を握りしめた
かつての彼ならばそれだけの力があったかもしれない
しかしすべてを失い衰えてしまった彼では散り散りになった仲間を救い出すだけの力はないだろう
だが彼にもまだ守れるものがある
『仲間を助け出す力はなくても、傍にいる仲間を守るだけの力はお前にもあるだろう。』
その言葉を聞いたトントンは顔を上げて目を見開いた
私は立ち上がり月を背にしてトントンと向き合う
風にゆすられた木々の騒めきよりも声を張り上げて言う
『聞け、トントン。お前たちは今、色々なところから狙われている。
お前たちが滅ぼした国の関係者だったり、我々国を恨んでいる奴らっだり、四方八方からな。
お前が守るんだ、傍にいる仲間を。
伸ばした手は届く距離にある、お前は守れるんだ。
なあトントン、もう後悔する必要はないだろう？』
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詩紀(プロフ) - 上級階級じゃなくて上流階級じゃないっすかね (2022年11月28日 10時) (
レス) @page2 id: 8014baf7d5 (このIDを非表示/違反報告)
スイ(プロフ) - めっっっちゃ面白いです！頑張って下さい！！ (2021年11月22日 21時) (レス) @page43 id: 52f70d6a1c (このIDを非表示/違反報告)
舞太郎 - わお、細かいとこまで繊細に書かれておりますねえーすげー一生ついていくっす作者様のらいの兄貴！更新頑張ってくださいなー (2021年10月7日 23時) (レス) @page33 id: 6f46ea7e84 (このIDを非表示/違反報告)
千菜(プロフ) - この話凄く大好きだったのでまた読めて凄く嬉しいです！これからも応援しています！！ (2021年7月17日 0時) (レス) id: 36e14b459a (このIDを非表示/違反報告)
あお - わわ、、、お帰りをお待ちしておりました、、！また貴方様の素敵なお話を読めると思うととても嬉しいです！これからも頑張ってください！ずっと応援しています！ (2021年7月16日 19時) (レス) id: eb48003aef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らい | 作成日時：2021年7月10日 21時
