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いれた紅茶を飲み、息を吐く
紅茶の水面が小さく揺れた
『事が起きてからでは遅すぎる。
死んだ者はいくら泣いても喚いても懇願しても戻ってこない。
終わったことを後悔したところで、何も変わりはしないのだ。』
「俺、俺は……。」
胸の当たりを抑えて跪く
恐らくようやく理解出来たのだろう
ベッドサイドテーブルの引き出しから銃を取りだし彼に差し出す
『受け取れ。小さな武器ではあるがナイフよりか使い物になるだろう。』
「なんでそんなのくれるん…。俺お前を殺そうとしたんやぞ。」
『もうしないだろう。お前が私の言ったことを理解出来ていればな。
お前が守れ、いつか来る脅威からお前を含めた仲間をお前が守るんだ。
なくなる前に、後悔する前に、誰かが涙を流す前に。』
それは私には出来なかったこと
もっと先のことを考えていれば
もっと力があれば
もっと、もっと、もっと
そしたらきっと私は1人じゃなかった
全てが終わったあと、後悔しても何も変わりはしない
立ち上がった彼が銃を受け取る
「後で返せって言っても遅いからな。」
『あぁ。』
「………ありかとな。」
彼は落ちているナイフを拾い、私に背を向けて部屋を出ていく
説教のようなものをしてしまった
だが仕方なかった
彼等がどうなろうが興味はないが、それでも私のように後悔する人間が増えて欲しくなかった
胸の辺りに突っかかる何かの名前は分からない
怒り？悲しみ？
それが分かったなら、私はもっと楽に生きられてた
それらはとうの昔に捨ててしまった物だから
ベッドに突き刺さったナイフを抜き、サイドテーブルの上に置く
幸いな事に枕に突き刺さっていたためマットレスはシーツが破れた程度で無事だった
枕をその辺に置きベッドに横たわる
傍から見て、私は今彼の心を救ったのだろう
実際は違う、ただ当たり前のことを当たり前に言っただけなのだから
救うなど私には出来やしない
正直、彼等と私は似ていると思った
境遇も心境も、何処と無く似てると思ったが、根本的に違う
私はひとりで、彼等はひとりじゃない
虚空に向けて伸ばした手をぎゅっと握りしめる
届かない手と、もう二度と触れられない温もりを今も尚握り締めている
私にはもう君の、君達の隣に立つ権利も、ましてや顔を合わせる権利すらないと言うのに
何度も何度も夢を見る
この夢はきっと、全てが終わっても終わらない夢
目を背けることは私にはもう出来なかった
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詩紀(プロフ) - 上級階級じゃなくて上流階級じゃないっすかね (2022年11月28日 10時) (
レス) @page2 id: 8014baf7d5 (このIDを非表示/違反報告)
スイ(プロフ) - めっっっちゃ面白いです！頑張って下さい！！ (2021年11月22日 21時) (レス) @page43 id: 52f70d6a1c (このIDを非表示/違反報告)
舞太郎 - わお、細かいとこまで繊細に書かれておりますねえーすげー一生ついていくっす作者様のらいの兄貴！更新頑張ってくださいなー (2021年10月7日 23時) (レス) @page33 id: 6f46ea7e84 (このIDを非表示/違反報告)
千菜(プロフ) - この話凄く大好きだったのでまた読めて凄く嬉しいです！これからも応援しています！！ (2021年7月17日 0時) (レス) id: 36e14b459a (このIDを非表示/違反報告)
あお - わわ、、、お帰りをお待ちしておりました、、！また貴方様の素敵なお話を読めると思うととても嬉しいです！これからも頑張ってください！ずっと応援しています！ (2021年7月16日 19時) (レス) id: eb48003aef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らい | 作成日時：2021年7月10日 21時
