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『反吐が出るな。』
「はあ？」
『お前はお前自身の事を理解ができてない。』
「何言うとんねん。自分の事は自分がよく分かってるに決まってるやろ。」
他の彼等に気付かれないようにか、声を抑えながらも怒りをあらわにする彼をみてため息を吐く
『ならば、』
ナイフを奪い取り彼の体を床に叩きつけるように倒す
多少うるさかったが気付かれない程度の音だろう
『何故お前は私にナイフを向けた。』
彼の首にナイフを添える
普通の人間ならばここで恐怖を感じるだろう
しかし月明かりで照らされた彼の顔は驚愕で染まっているように見えた
「ｯなに言うとんねん。さっき言ったやろ。」
『理由を聞いている訳では無い。お前の思考を聞いているのだ。』
「は？意味わからんわ。」
ナイフを持ったまま立ち上がる
彼も立ち上がり私から距離をとった
『お前はこのナイフを私に向けたとき、何を思った。』
「…特に何も。」
『必ず成功するとでも？』
「当たり前やろ。俺がお前みたいなただの素人に負けるわけが、」
『それだ。』
再び距離を詰めてナイフの先端を彼の心臓あたりに当てる
確かに彼から見たら素人なのかもしれない
しかしそれは表面だけを見た彼の意見
相手がどのような人物なのかなど、表面をみただけでは分かりはしない
加えて彼は長い時間奴 隷のような生活をして、体は衰弱してかつての力もないだろう
それなのに彼は、この暗殺の成功を疑わなかった
それが駄目なんだ
『お前は、自分が死んだ後のことを想像したことはあるか。』
その問いに返答はない
月明かりに照らされた彼の顔は困惑で満ちている
恐らく考えたことがないのだろう
『考えてみろ。今ここでこのままお前の心臓にナイフを突き刺した後のことを。
仲間はお前の死をどう思う？お前の死後、何が起きると思う？』
「俺が、死んだ後……。」
『あぁ、そうだ。お前が死んだあとだ。
恐らく彼等は悲しむだろうな。心の底から。
中には後を追う奴もいるかもしれない。
中には私に憎悪を抱き、同じように私を殺そうとし返り討ちにあうかもしれない。
お前はお前自身のことを理解出来ていない。
お前の仲間にとって、お前がどれだけ大切であることかを理解出来ていない。』
持っていったナイフを放り投げ、彼から距離をとる
恐らく長い過酷な時間の中で、彼自身の思考が麻痺しているんだろう
かつては分かっていたはずのことなのだから
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詩紀(プロフ) - 上級階級じゃなくて上流階級じゃないっすかね (2022年11月28日 10時) (
レス) @page2 id: 8014baf7d5 (このIDを非表示/違反報告)
スイ(プロフ) - めっっっちゃ面白いです！頑張って下さい！！ (2021年11月22日 21時) (レス) @page43 id: 52f70d6a1c (このIDを非表示/違反報告)
舞太郎 - わお、細かいとこまで繊細に書かれておりますねえーすげー一生ついていくっす作者様のらいの兄貴！更新頑張ってくださいなー (2021年10月7日 23時) (レス) @page33 id: 6f46ea7e84 (このIDを非表示/違反報告)
千菜(プロフ) - この話凄く大好きだったのでまた読めて凄く嬉しいです！これからも応援しています！！ (2021年7月17日 0時) (レス) id: 36e14b459a (このIDを非表示/違反報告)
あお - わわ、、、お帰りをお待ちしておりました、、！また貴方様の素敵なお話を読めると思うととても嬉しいです！これからも頑張ってください！ずっと応援しています！ (2021年7月16日 19時) (レス) id: eb48003aef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らい | 作成日時：2021年7月10日 21時
