17 ページ19
「俺からも、」
黒髪赤目は少し怯えながら1歩前に出ながら言う
お互いアイコンタクトをとり、ゆっくり頷きながら
「俺らからもお願いします！」
勢い良く頭を下げた黒髪赤目に続き、彼等全員が頭を下げる
垂れ下がった髪を耳にかけながら資料を手に取る
仲間のためなら、か
『私は…ただ依頼をこなすだけだ。
依頼を完遂すること、それだけが目標でそれの障害になるのなら何であっても始末する。
それが例え、お前達のお仲間であってもな。
だが忘れるな、私がお前達に言ったことを。』
最後の言葉を聞くや否や彼等が一斉に頭を上げて呆けた顔をする
忘れたのか覚えてるのか分からない顔に短く息を吐く
『"善処する"と言ったはずだ。』
「！それはつまり…！」
『言葉の通りだ。だが期待はするな。』
そのショッピとやらがこの女の元にいる、かつ私の依頼の邪魔をしないなら連れてくることは可能だろう
大人しく着いてくるかは別として
持っていた資料を机の上に置く
『話は以上か？なら部屋から出ていけ。』
「ｯありがとうございます！」
深く頭を下げたあと部屋から出ていく彼らの背を見つめる
この女が普通の奴 隷商人であるならもうショッピとやらは売り飛ばされていてもおかしくないだろう
売り飛ばされてないことを祈るしかないな
二度手間は好きじゃない
それより彼等は怪我はまだ癒えてないが体力は大分回復したらしい
そろそろ街へ連れ出しても大丈夫そうだな
明日辺りに街に連れていくか
私では彼らの欲しいもの必要なものが分からない
本人を連れていくのが手っ取り早いだろう
先程耳にかけた髪が垂れる
彼等にとって仲間は生きていく理由なのだろう
だからこそプライドさえも捨て私に頭を下げることが出来る
きっと、仲間のためなら喜んで死ぬ
そして己が死ねば仲間が悲しむことを理解してる
口を開けば溜息ばかり
面倒なものを拾ってしまった
後悔から始まったこの人生はどうやら神から見放されてるらしい
錆びたナイフを取り出して机の上に思いっきり突き立てた
生憎錆びているので多少傷がついただけだった
こびり付いた錆は、私の手では落とせそうにない
その錆びたナイフをあまり見ない棚の中に仕舞う
見ようとしなければ見えない
だがそれは確かにそこにあり、静かに存在を主張する
無ければいいものであるのにそれは決して無くならない
頭を抱えて溜息をつき、思考を放棄するようにベッドに倒れ込んだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 411人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩紀(プロフ) - 上級階級じゃなくて上流階級じゃないっすかね (2022年11月28日 10時) (
レス) @page2 id: 8014baf7d5 (このIDを非表示/違反報告)
スイ(プロフ) - めっっっちゃ面白いです！頑張って下さい！！ (2021年11月22日 21時) (レス) @page43 id: 52f70d6a1c (このIDを非表示/違反報告)
舞太郎 - わお、細かいとこまで繊細に書かれておりますねえーすげー一生ついていくっす作者様のらいの兄貴！更新頑張ってくださいなー (2021年10月7日 23時) (レス) @page33 id: 6f46ea7e84 (このIDを非表示/違反報告)
千菜(プロフ) - この話凄く大好きだったのでまた読めて凄く嬉しいです！これからも応援しています！！ (2021年7月17日 0時) (レス) id: 36e14b459a (このIDを非表示/違反報告)
あお - わわ、、、お帰りをお待ちしておりました、、！また貴方様の素敵なお話を読めると思うととても嬉しいです！これからも頑張ってください！ずっと応援しています！ (2021年7月16日 19時) (レス) id: eb48003aef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らい | 作成日時：2021年7月10日 21時
