特務司書ならぬ特務医師！出動します！【文アル】 (ページ6)

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有魂書の中※主が思う有魂書になりますページ6

有魂書に手を伸ばしたら
パッと強い光が出て目を開けられなくなった

光が収まったので目を開けると

『港？』
誰も居ない港に立っていた
大きな船が一台止まっている
船の上にも誰も居ない

「エリーゼ!!!」
急に声が聞こえて固まってしまう

船の上には誰も居ない
エリーとは誰の事だ？

後ろを向けば分かるかもしれない
そう思って振り向いたが
矢張りそこには誰も居ない

そして本のページが捲られ
場面が変わるように
私は港から何処かの家の一室に
移動させられていた

窓際の小さなテーブルの上に
R.Mと刺繍されたハンカチが畳まれてある

そういえば、賢治先生がこう言っていたっけ
「有魂書の中に居る文豪に触れると
文豪がこっちに来るんだ！
文豪に会うにはね.....」

『文豪に会うには、誰が囚われているのか
自分がわかる事.....』

正直言って何万と居る文豪から
一人を思い出すなんて無理な話だと思う

でも、この風景を、見た記憶がある
何処だっけ....

そう思っているうちにまた場所が変わった
ここは、どこ？医務室？

急に誰も居ない所から声がした
「__先生！いらっしゃいませんか！」

何処からか聞こえるその声は
最初、きっと、名前が入るであろう所が
煩い雑音で隠されてしまっていた

耳が壊れるかと思うぐらいの雑音は
一瞬だったが大分私は耳がやられた気がする

『あくまでも、自分で分かれって事か
でも、もう大丈夫』

私は何処でこの風景を見たのか思い出した
文豪の恋愛について書かれた漫画を読んだ時
同じような風景を見たのを覚えている

『この本の文豪は軍医で』
ページが戻りすぎたのか、港へと舞い戻った
『家族の言いつけで愛人を手放した』

そして小さな一室へとシーンが変わる
『森林太郎さん、いえ、森鴎外さん
貴方ですよね？』

小さなテーブルの近くの椅子に目を向けて
そういった
椅子にはいつの間にか森先生が座っていた

「正解だ、でも、まずは名前を
名乗ってくれないか」
そういえば、名乗ってないな、と思い
スカートを履いていないので
摘む動作だけして礼をする

『失礼しました、私、帝國図書館という所で
特務医師を勤めております、
療乃木瀬奈と申します
森先生にお願いがあって参りました』

そう言って私は顔をあげた