24.幸せを求めて ページ25
.
晩ご飯を終え、今日は1人でお風呂に入って、洗濯物をして…
いつものように、セフンさんと一緒の布団に入って、寝る準備をする。
「…セフンさん」
「なに」
「…もっと、ぎゅってしてください」
私がそう言うと、セフンさんはびっくりするような表情をする。
「いいけど…どうしたの」
セフンさんは戸惑いつつも、私に回した腕の力を強める。
…好きな人の隣にいれるだけで、幸せなのかな、と。
ベッキョンさんのこともあって、そう思う。
しかも、こうやって抱き締めてくれる。
この上ない幸せじゃないか。
これ以上を求めるなんて…贅沢だ。
「…ありがとうございます」
「…どうしたの、Aちゃん」
セフンさんは不思議そうに私の顔を覗く。…近い。
「何か嫌なことでも…あ、あいつに変なこと言われた？」
「…いや。そうじゃ、ないですけど…」
「じゃあ何？言って」
優しい声色で、ふにゃっと笑うセフンさん。
「…私は、幸せ者です」
「ん？」
「なのに…まだ、贅沢なことを望んでる」
セフンさんの隣にいれるだけで幸せなのに、さらに恋人になりたい、なんて。
「…幸せだと決めつけるのは、まだ早いんじゃないかな」
セフンさんは優しい笑みを浮かべ、私の頬をそっとなぞる。
「まだまだ、これから幸せなことが起こるかもしれない。未来から見たら、今なんて、まだまだ序の口なのかも。死ぬ間際になって、あの時は幸せだったって思えばいいと、俺は思う。それまで、贅沢にがむしゃらに幸せを求めるのも、悪くないと思うよ。もっともっとって思うのは、自然なことだよ」
「セフン、さん…」
「自分の気持ちを否定したり、しないで」
「っ…」
「ふふっ、泣かないでよ。そんなに思い悩んでたの？」
そっと、頬に伝う涙をセフンさんが掬ってくれる。
あなたのせいで、悩んでるんですけどね。
でも、その本人に、自分の気持ちを否定しないで、なんて言われると…。
「相談料、10,000円払わないと、ですね…」
「あはは！いらないよ！…んー、でもそうだなぁ、その代わりに、ほら、ポッポして！」
「…はい」
セフンさんに突き出される頬に、そっとキスをする。ちょっと長めに。
「んふふ、かわいい。Aちゃん、大好きだよー！」
その好き、は、どの好き、ですか？
「…私も、です」
「え、Aちゃん、今日素直〜」
私の好きは…。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 169人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：LUKE | 作成日時：2020年10月6日 22時
