23.気が向かない ページ24
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「さぁね。知らない。ごちそうさま」
セフンさんは素っ気なくそう言って立ち上がる。
「え、ちょ…今、相談屋としてのセフンくんに相談してるんだけど…」
「言ったでしょ。気が向かないと相談には乗らないって」
カチャカチャと音を立て食器を重ねて流しに置き、セフンさんはさっさと部屋を出て行こうとする…
「ちょ、セフンさん！」
「…なに」
私が呼び止めると、セフンさんは足を止めてこちらを見た。
「ちょっとくらい…助け舟出してあげてくださいよ…」
私は、相談相手に的確なアドバイスをするセフンさんが、1番かっこよくて、好きだ。
なのに。
「気が向かない」
そう言って、ふわぁ、とあくびをした。そして。
「俺、恋愛に興味無いから」
そう言い放ち、さっさと、出て行ってしまった。
…恋愛に、興味、無い…？
初めて、聞いた。
確かに、恋愛関係の相談に乗ってるところ、見たことないけど…
まさか、セフンさん、恋愛に興味がないとは…。
頭を何かで打ち付けられたような衝撃が走る。
「Aちゃん…た、他人の恋愛には、って意味かもしれないから…そんなショック受けないで…」
ベッキョンさんは困惑したような表情で私を見て、フォローしてくれる。
…そう、だよね。まだ、望みが絶たれたわけじゃ…。
「…ごめんね、恋愛マスターとか自称しときながら、俺すごい未練タラタラ男でさ」
「い、いえ…！もう少し、早く言ってくださってもよかったのに…」
「あはは…なんかかっこ悪いじゃん？」
ベッキョンさん、笑ってるけど…どこか、寂しそうだ。
「もう一度、彼女さんと話してみる、とか…？」
「うーん…どうだろう。話、聞いてくれるかな…」
「…すみません、私、経験無いもので…なんのアドバイスもできなくて…」
「全然！大丈夫だよ。打ち明けたら、少し楽になった！ありがとね」
…私は、恋愛経験だけじゃなく、人生経験も少ないから…セフンさんみたいに、誰かの役に立つほどの考えは持っていない。
そんな自分の無力さに、腹が立つこともある。
「すっぱり諦められたらなぁ…人間、悩みなんて持たなくていいのにね」
「…そう、ですね」
私も…セフンさんに女として見てもらうことを諦めて今の関係性を受け入れれば…その方が、幸せになれるのかな…。
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作者名：LUKE | 作成日時：2020年10月6日 22時
