Dream comes true (ar×ym) ページ33
高校生〜大学生(大人)・幼馴染み設定
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ym.side
「あーぁ、
ずっとこのままでいれたらいいのになー」
寂しさも包み込むような暖かなオレンジ色の空。
わざと大きな声で言ってみたら本当に悲しくなってきちゃって、
今はまだ隣にいる奴の反応が気になった。
少しは名残惜しく思ってくれてもいいじゃん。
人の気も知らないで笑って
「ずっとガキでいる気かよ」と言葉は冷たい。
「なんだよ、悪いかよ。
そういう大ちゃんはどうすんの?」
「俺にはちゃんとした進路があるから」
「だから、何でその先は教えてくれないの?」
「夢は語るもんじゃねえ。
俺が叶えればお前もいずれ分かるだろ?」
そうやっていつもはぐらかして。
本当は何もないんじゃないかと疑ったけど、それは違うらしい。
回りの反応からして知らないのは俺だけみたいだった。
「カッコつけてんじゃねーよ。うぜぇ」
ムカつくし無理矢理にでも聞き出してやりたいけど、
それ以上に俺だけ教えてくれないってことがショック過ぎた。
無理矢理聞き出したところで何故教えてくれないのかって理由が一番怖い。
「山田もずっとこのままとか言ってないで現実見ろよ?」
幼馴染みなんて損だ。
ずっと近くにいたからこそ、越えられない見えない壁がある。
「…ぃ…ん……ぃ…が…なぃ」
「なんだよ?」
「……どーせ、俺は現実逃避しかできねえよ!
夢なんか……俺にはないから……」
俺がずっとこのままいたいのはただ現実逃避したいからでも、夢がないからでもないよ。
“大ちゃんがいないと意味がない”
はっきりと伝わっていたら何か変わっていたのかな。
お前は今、どこにいるんだよ……。
高校の卒業式の日、
最後まで何も言ってくれなかった。
その翌日には居なくなっちまったんだ。
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