◇ ページ27
これからどうしたらいい?
大切なメンバーの山田に、、、しでかしてしまった。
しかも記憶がない……。
自宅に山田を残してロケに来ているけど俺の得意としている食レポも本日絶不調。
共演者の人に気を遣わせてしまった。
プライベートを仕事に持ち込むなんてプロ失格。情けない。
これは数日後に予定されているメンバーとのロケにも影響するだろう。
俺のせいで押してしまったロケも夕方に終わった。
連絡をする時間もなかったし、向こうからも何もない。
マネージャーの運転する車の後部座席で一人頭を抱えていた。
「あっ!」
「……どうかされました?」
とんでもないことに気づいてしまってつい声に出してしまった。
首をかしげるマネージャーにウトウトして変な夢見てた、と言い訳をしてそれ以上追求されぬよう目を閉じる。
朝は気が動転して理解するのに必死になって忘れてた。
俺、山田に謝ってない。
気まずいけど家に着いたらまず山田に連絡してみよう。
それから、直接会って謝った方がいいよな。
山田の家に行くことを承諾してもらえるかは分からないけど。
ガチャリ
「…はぁぁ……」
ドカッとソファに腰かけて早速スマホを手に取る。
【今朝はごめん。直接謝りたいんだ。今家にいる?】
んー。これで、大丈夫かな……。
警戒されて返事が返ってこないかもしれない不安と今朝の様子にすがって許してくれるんじゃないかという期待。
んんっ、!
送れた……。
あとはどう返事が来るか。
スマホをテーブルに置いて祈る気持ちで見つめた。
それからどのくらい経っただろう。
重い気持ちのせいで実際よりも倍くらい長く感じてる。
応答なしか……。そりゃそうだよな……。
冷水を頭から浴びたい気分だ。
はぁぁ、本日何度目か分からない溜め息と共に立ち上がり風呂場へ向かった。
このままずっと気不味いのかな。
原因を作ったのは自分だけど、今まで積み重ねてきたものが崩れていく。
他のメンバーにまで迷惑をかける。
考えが纏まらなくて冷水を浴び続けた体は冷えきって頭痛がする。
強引に謝罪に出向くことも余計に嫌われるんじゃないかと臆病になり現実から逃げ出すように寝室へ向かった。
「……っ!」
人の形に盛り上がっているベッド。
まさか、と息をのんだ。
ここで寝ているとすれば、今朝残してきた山田しかいない。
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