◇ ページ20
放課後、俺と光と唯純でカラオケに入り浸り気づけばPM8時。
そろそろ解散！と方向の違う唯純の家に俺一人でついていくことに光は「一分で出てこいよ！」と送り出した。
「この時間ならもう帰ってきてるな……」
「誰が？」
「うちの家族。
って言っても弟だけだけどね。
両親はほとんど出張で家にいないから」
「へー。そうなんだ。」
他愛ない会話を続けること10分
築30年くらいの一軒家の前で止まった。
表札に『山田』と書いてあるからここが家だ。
「どうぞー。あがって」
「お邪魔しまーす」
リビングで待ってて、と言われ通された奥の部屋。
明かりがついていたから弟でもいるのかと思ったら誰もいない。
でも、室内は暖かいし来客に気づいて二階でも行ったのかな？
「……コタツじゃん」
コタツっていいよね。
あったかい家庭って感じがする。
こういう家で育ったから唯純は素直な良い子なんだな。
まるでおっさんみたいなことを思ってしまった。
ﾓｿﾞﾓｿﾞｯ
「？？？」
入り口のところに立ったままいたから触れたはずはないのに突然コタツが揺れた。
「んーっ……」
「？！」
うなり声が聞こえてコタツからチョキっと腕が生えた。
いやいやいや、違う。
誰かが寝ているんだ。
そうだ、弟！
「お邪魔してまーす」
「……んん…ぁ…ぃ」
ん？今小さい小さーい声で『あい』って聞こえたよね？？
『はい』って言ったのか？
弟ってそんなに小さいのか？
「はあぁ……」
本格的に目が覚めたらしい弟君は俺がいる反対側で俯せのまま頭を上げた。
ピョコッ
「……ぷっ」
グレーのスウェットにボサボサの寝癖
まるで昼間唯純が言ってたやつ。
自分の弟のことだったのかよ(笑)
「ごめーん。お待たせ！」
その生き物観察に夢中になっていると唯純が階段を降りてきた
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