◇ ページ17
ar.side
学校を抜け出して街中で山田を探し回った。
昨日の公園、ゲーセン、カフェ……
でもどこにもいない。
隠れているのか、連れ去られたのかも不明だけど絶対に俺が見つけるんだ。
「山田、どこ行ったんだよ……」
一通り探し回って近くの公園に戻ってきた。
次はどこを探そう。
姿を隠せそうな場所……
使えない頭を必死に動かしていたら
『大ちゃん!』
山田に呼ばれた気がした。
「山田?」
幻聴か……
どこにいるんだよ。
『大ちゃん!』
また聞こえた。
走りすぎて熱中症にでもなったのか?
どこを見回しても山田の姿はないのに。
『大ちゃん!ここだよ!』
「山田?どこにいるんだよ!」
『下!』
「下?……」
クックッ
足元で制服のパンツが何かに引っ張られる。
ゆっくりと視線を下げると
「…うわっ!!!」
おかしい!おかしい!
小人がいる!?
熱中症だ。こりゃ本格的に。
頭がクラクラしてきた……。
「大ちゃん……」
「ぇ、……」
俺の名前を下から呼ばれた?
恐る恐るしゃがんでみると、小人は俺の探している人に似ていた。
「……やま、だ?」
ツンッと指で押してみる
「うわっ、何すんだよ!」
喋った……。
しかも口が悪い。
「大ちゃん、俺……っ……」
「えっ、」
何かを言いかけて小人は倒れた。
咄嗟に片手で押さえて、両手で掬うように持ち上げる。
「……山田、なの?」
この日から、俺と小さすぎる山田の秘密の生活が始まった。
fin.
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