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◇ ページ16
理解しがたい現実。
どうすれば良いのか、どうなってしまうのか、不安と恐怖で目頭が熱くなる。
「帰らなきゃ……」
それからよく見れば自分のいる場所はいつも通る橋の真下であることに気づいた。
てことは、ここを真っ直ぐ行って……
自分の家に帰ろうと歩き出した。
しかし、一向に橋にすら辿り着かない。
一歩が小さすぎる。
これじゃ何時間かかるんだ?
「何で……、
大ちゃん……。」
無意識に口にした名前は、沢山の表情を甦らせる。
一歩、また一歩、数センチずつ進む。
やっとのことで橋まで行くと遠くの方から何やら「ゃ…だ…!…」と叫び人が走ってくる。
近づいてくるその姿は紛れもなく
「……山田!」
大ちゃんだ。
汗を流して辺りをキョロキョロしながら俺の名前を呼んでいる。
探してくれているんだ。
「大ちゃん!」
「山田!…山田!……」
けど、俺がどれだけ叫んでも、この声は届かなかった。
俺を通り過ぎて走り去っていく。
それが悲しかった。
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