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サワサワッ


「、…ん……」


風吹いてる……


「…〜。はあ……」


いつの間にか寝てたのか。

ヒンヤリとしたものを肌に感じつつ体を起こす。


「…………………ん?」


えっ?!


「ここどこ?!」


目を開くと全く見覚えの無い景色。
草原と言うには汚ならしい場所。
近くで水の流れる音もする。

何があった?記憶がない!


「…寒っ……はあ?!服は?!」


肌寒くなって自分の腕を擦るとあるはずの布の感覚がない。
視線を下げれば所詮生まれたままの状態。


「何で?だって大ちゃんが助けてくれたし、そのあとは……」


ザワザワ…

必死に思い出そうとしていたら変な物音。
振り向いてはいけない気がしたけど、その正体は声で分かった。


「……」


カアカアと鳴くソイツ。
これは俺の知っている限り、カラスだ。

だけど、


「何でそんなにでかいの?!」


カァァー


「うわぁっ、来るな!」


俺よりも何倍も大きな体をして鋭い嘴で飲み込もうとしている。

カラスに喰われて死ぬなんて御免だ!

とにかく走り回った。
途中に拾った布の切れ端で体を包んで、立ちはだかるコンクリートの壁によじ登り逃げた。


「どうなってんの……」


上がるところまで上がりきると、
そこにはドでかい家、家、家。
すごい勢いで走る車。

俺、夢でもみてるのか?


「そうだよな」


これは夢だ。
早く覚めろ。

その場に寝転んで目を閉じる。

少しして再び目を開く。


「何でだよ……」


景色は何も変わっていなかった。


「どうなってんだよ!…っいてぇ!」


イラついて地面を殴ったら加減を忘れて拳が痛んだ。


「痛い、って、……夢じゃない?」


目に入るものすべてが大きいこの世界。

いや、


「……俺だけが小さくなった……」

◇→←◇



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作者名:有岡夢莉 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2018年3月4日 16時

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