◇ ページ12
「ありがと…」
「…う、うん。」
にしても、何故この時間に公園にいたんだ?
何処からか連れてこられたのか?
家で勉強してるとばかり思ってたら、遊んでたんだ。
「山田もサボってたんだな」
「っ……」
「危ねえじゃん。お前昔からこういう目に遭ってんだから、少しは学べよ」
山田は昔から人を惹き付けて、何度か危険な目に遭いそうになっていた。
幼馴染み以上の感情を持ちあわせていた俺は目を光らせてその度に救ってきたわけだけど、いつもそういうわけにはいかない。
だから極力一人で人気の無い場所に出歩くなと忠告はしていた。
もう高校生だぞ、なんて山田の反抗は無意味。学校だって、危険は潜んでるんだからな!
はあ……こんなこと思ってても仕方無い。
当の山田に自覚してもらわないと。
何だかんだ惚れた弱味で甘やかしてるけど今回は本当に危険だったんだ。
ちゃんと叱ろう。
「ごめん」
「優等生は優等生らしく家で大人しく勉強してればいいんだよ」
そりゃ、八つ当たりもあったよ。
好きな人のあんな姿見たら、怒りたくもなるでしょ。
だから、言い方がキツくなった。
「……なんだよ、それ」
「え?」
「俺だってたまには遊ぶよ!わりぃかよ!
元々優等生なんて柄じゃねえんだよ!」
完全に逆ギレだ。
さっきまでの弱気な姿は何処へ行った?
言いたいことだけ言って一人で帰るつもりかよ。
「待てよ、」
「うるせぇ」
「送るから」
「そんくらい一人で帰れる」
触るな。来るな。
言葉に出さなくても分かる。
動けず立ち尽くして素直になれない自分を悔やむ。
俺の恋も終わったな……。
「さようなら、……」
俺を振りきった小さくなっていく背中に震える声で呟いた。
まさかそれが、
その山田の姿を見る最後になるなんて
思うわけがなかった……
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