◇ ページ11
いつもより早い時間。
帰ったら寝るか。ご飯はまたシュークリームでいいや。
コンビニに向かう途中、いつも通る公園からガサッと音がした。
こんな時間に怖いな……不審者でもいるのか？
毎日そんな物騒なところを通ってたのかよ。
明日から道変えよう。
なんて、少し足早に通り過ぎようとして足が止まる
何故なら、聞き間違えるはずがない声がしたから。
嘘だろ、この時間に。
あいつは家にいるはず。
恐る恐る近づくと暗闇に慣れた目に見えてきたのは二人の男に押さえ込まれる山田の姿だった。
「やめてくださいっ、…ちょっ…やめろって！」
「いいじゃんかよ」
「あんま声出すな」
両手を頭上に口を押さえられて身動きとれないでいる山田の姿に、誰か人を呼ぶとか自分の危険なんて頭に無くて
「お前ら何やってんだよ！！！」
「あ？」
「離れろ！」
「…っ、いってぇ！」
俺の威勢に少し怯んだ隙に山田は相手の手を噛んで俺の方に逃げてきた
「逃げるぞ」
すぐさまその手を握って公園から逃げる。
良かった。頭が悪くても足だけは早くて。
背後から追いかけてくる声がしたけど明かりのある方に逃げて、いつの間にか巻いたようだった。
「……はあ、はあ、…」
「……」
息の切れている山田は上気して頬が赤くなっていた。
やばいっ、そんなウルウルな目で見てくるなよ……抑えられなくなるじゃん
ダメだ。冷静になれ大貴。
山田は今、襲われかかってたんだ。
間に合って本当に良かった。
俺が勉強ヤル気満々だったら不味かったな。
薮様様だぁ……
「だ、大ちゃん……」
「ん？」
「その、…手、……」
「手？……うあっ！」
遠慮がちに何を言うかと思ったら、
俺手繋ぎっぱなしじゃん！
恥ずい…離した手が熱い。
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