106.約束 ページ12
《約束》
ユノのキスに…身体中から力が抜けそうになる…
やめて…やめて…
だから…嫌だったの…
｢離して…！｣
必死で体を突き放した…
体の芯が熱かった…
YN｢A……｣
ユノの悲しそうな顔を…まともに見れなかった…
分かってない…分かってないよ…ユノ…
｢大丈夫だって言ったら…大丈夫なの…!あんなこと…なんでもない…私…一人でも平気だから…｣
ユノが困ったような顔をしている…
そうだよね…なんて言ったら分かってもらえる…？
｢甘やかさないで…｣
なに言ってるんだろ…
ユノもますます困った顔をしている…
｢ここに帰るって言ったのは…私だから…｣
だけど…本当は辛い…
会社に来なくていいと言われたこととか…
卵をぶつけられたこととか…
そんなことは…どうでもいい…
辛いのは…
どんなにこの家で待っていても…あなたは帰ってこないということ…
でも…私には私の生活がある…大げさな言い方だけど…一人でもちゃんと生きていかなきゃいけない…
だから…甘やかさないで…
｢いつも…一緒にいられるわけじゃないんだから…｣
心の中で呟いたつもりが…思わず声にだしていて…はっとする…
その瞬間…ユノがまた…私の頭を包み込むように抱き締めた…
YN｢じゃあ…いつも一緒にいようよ…｣
ユノが優しく髪を撫でる…なに…？何を言ってるの…？
YN｢いつも一緒にいたら…もうこんなふうに…一人で我慢して泣いたりしない…？｣
なに…それ…
ユノ…綺麗事なら…いらないよ…
そんな寂しい綺麗事なら言わないでよ…
｢できないこと言わないでよ…｣
ふっとユノが笑いながら…私の頬の涙を拭ってくれた…
YN｢出来るよ…約束する…ほら…手をだして…｣
日本で約束で…手を出せといわれたら…《指切り》
私は…右手の小指をだすと…そうじゃなくて…とユノはぐいっと左手を握り締めた…
YN｢いつもAの傍にいる…これから…ずっと…｣
左手の薬指に…冷たい感触が伝わる…
YN｢約束……｣
ユノはそういうと…今度はそっとキスをした…
私は…言葉をなくして…
左手に光る…その《約束》を見つめていた…
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作者名：よーこ
| 作成日時：2010年11月16日 17時
