飴玉と悪戯 11 ページ24
目が覚めてしまった｡
雨粒が窓を打つ音がやけに大きく聞こえる｡
「…トイレ」
隣を見ると、アーヤがすやすやと眠っている｡
結局あんまり話せずに寝落ちしちゃった｡
起こすのも悪いから、癪だけど姉さんが持ってきてくれた荷物の中からうさぎを取り出した｡昔、気に入っていたぬいぐるみだ｡
音を立てないようにドアを開け、うさぎを抱えてトイレを探す｡
確か1階だったよね｡階段を1段ずつ下りて、目的地まで到着｡
用を済ませてまた階段を1段ずつ上がる｡
…部屋どこだっけ｡
思い出せ、思い出すんだ｡
取り敢えず電気を、ってあれ?
見当たらないし、届かないのよね?そもそもトイレまで行く時に私は電気をつけなかったの?
寝惚けすぎにも程がある｡
暗いのは嫌だから、とっとと部屋に戻ろう｡
起きてからの行動を振り返ろうと考え始めた時のことだった｡
轟音が廊下に響いた｡
声も出せずにズルズルとその場に座り込んだ｡
『今夜は雨が振るよ、気をつけて』
姉さんの言葉の意味がやっと分かった｡
私は小さい頃、あの大きな雷の音が嫌いだった｡
幼くなった今、体が勝手に反応してしまう｡
また鳴った、きっと雷様が怒っているんだ｡
早く毛布にくるまって少しでも音が聞こえなくしたいのに、思考回路を雷鳴が妨げてくるせいで訳が分からなくなる｡
目から雨が降ってくる｡拭っても拭っても止まない｡
思い出したくもないことが頭の中で流れる｡
両親がこの世から去ったことを知ったあの部屋で、私は泣き崩れた｡
その時床についた手と、今拭っている手の大きさが一緒で｡
あの時の恐ろしさや悲しみ、苦しみが一気に襲ってきた｡
尚更私を追いつめるみたいにまた雷様が怒り出すものだから、泣きたくないのに涙が止まらない｡
そう言えば、雷が怖くなったのは2人がいなくなってからだった｡雷が聞こえても手を握ってくれるあの温もりがなくなってから、しばらくは怯えていたんだ｡
人を信じられなくなったのは、確かにあの頃｡でも本当は、どこかで孤独を恐れていた｡
耳に届く音から逃げるように、不本意ながらもうさぎをぎゅっと抱きしめて、声だけでも押し殺す｡
誰か助けて、1人にしないで｡
そう言えたなら、どんなによかったんだろう｡
私の口からはしゃくりあげる声がかろうじて漏れ出るだけ｡
雨よ、早く止んでくれ｡
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futureblue�鏡�(プロフ) - ももかさん» コメントありがとうございます｡続編希望はとても嬉しいのですが、こちらの作品で申し上げた通り、また先程伝えさせていただいた通り今後KZの小説を書く予定はございません｡ご期待に添えず大変申し訳ありません｡ (2019年8月9日 11時) (
レス) id: 495c86097b (このIDを非表示/違反報告)
ももか - 続き作ってほしいです！この設定のままで、お願いします！オチは黒木君がいいです！おねがいです！作ってください！お願いしまーす！ (2019年8月9日 11時) (レス) id: 6d5901c79c (このIDを非表示/違反報告)
futureblue�鏡�(プロフ) - 奈都さん» なのでここできっぱりとおしまいにすることに決めました｡応援してくださり、本当にありがとうございました｡占ツク自体には生息しているので、どこかで見かけた際に声をかけてもらえたら嬉しいです｡ありがとうございました!長文失礼致しました｡ (2018年12月12日 18時) (レス) id: 5dfeb6ba3e (このIDを非表示/違反報告)
futureblue�鏡�(プロフ) - 奈都さん» コメントありがとうございます!上からだなんてとんでもない、本当にありがたいです｡奈都さんは確か自転車時代からコメントをいただいて、嬉しかったのを覚えています｡にわかの私がこれ以上KZの小説を書いても、原作のイメージが崩れてしまうと判断しました｡ (2018年12月12日 18時) (レス) id: 5dfeb6ba3e (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 完結おめでとうございます。ずっと応援してきてよかったなと思える作品でした(上からに感じられたら申し訳ないです)。もうkzの小説は書かれないのですね……寂しいです。素敵な作品をありがとうございました。またいつかお話できたら嬉しいです。 (2018年12月10日 22時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2018年9月26日 19時
