お化けと恋の関係性 5 ページ35
砂原は目を見開いた｡
まあ、それもそうだろう｡
突然得体の知れぬ女子がクラスメートの言動で自分のことを知りにきたと言うのだ｡誰だって驚かずにはいられまい｡
何と言っても自分が一番驚いている｡
接触を試みると言ったはいいが、実際何も考えていないのだから｡
人を信じない私がどうやって砂原少年を信じればいいっていうの!
私が内心では混乱と戦い表面では平静をどうにか保って時間を稼ごうとする中、丁度風が吹いた｡
強いとは言えない、精々前髪を踊らせる程度の風であったけれど、私にとってはチャンスをもたらしてくれるありがたい物だったのだ｡
砂原「おい奈良、だったか?お前そのおでこのって…｡」
私は咄嗟に額を手で庇った｡
それを悪くとったのか砂原少年は慌てたようにに私に尋ねた｡
砂原「まさか虐 待でもされてるんじゃ｡」
A「違う!ふざけないで!私の両親はそんなことする人じゃなかった!そんなことする親なんて私にはいないっ!いないんだよっ!」
私はキッと砂原少年を睨むと噛みつくように疑いを否定した｡
砂原少年は豹変した私を見て更に驚いた｡
やっちまった｡
そう思った｡
私は己の影を見つめた｡
何でもっと冷静になれなかったんだ、私の馬鹿野郎!
違う、後悔すべき点はそこじゃない｡
アーヤに迷惑がかかりなんかしたら…!
どうしよう、どうしよう、どうしよう…?
砂原「なんか悪かったな｡言いたくないこと言わせちまったみたいで｡」
知っている｡
これは心配しているようで、詫びているようで｡
顔を上げて彼の表情を見たくなかった｡
見てしまったら、確信してしまうから｡アーヤの言ったことを信じることができなくなってしまうに違いないから｡
でも私の体は言うことを聞かずに彼の顔を見てしまった｡
そこにあったのは思った通り、
同情だった｡
違う、違う、この目の前の男子は違う!
アーヤは純粋で、人のことが言える訳では決してないけれど世間知らずの女子｡
そんな彼女には砂原少年はいい人に映ったのかもしれない｡
けれど私にしてみれば其処らの連中と同じだ｡
だからアーヤには悪いけれど、私は砂原少年のことを信じない｡
ごめんなさい、アーヤ｡
A「言いたくない訳ではありません｡ただの生まれつきですから｡お手数おかけしてすみませんでした｡では、失礼します｡さようなら｡」
私は熱くなった瞳を隠すように彼に背をむけてその公園を去った｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
futureblue�鏡�(プロフ) - 彩さん» コメントありがとうございます!更新は今までのように遅くなると思いますが、頑張っていきたいと思っています｡続編はもう少々お待ちください｡ (2018年3月17日 22時) (
レス) id: 5dfeb6ba3e (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 続編、楽しみに待っています!!これからも頑張って下さい！ (2018年3月17日 18時) (レス) id: a14dd51e33 (このIDを非表示/違反報告)
futureblue�鏡�(プロフ) - love knotさん» コメントありがとうございます!更新遅くて申し訳ないです｡これからも頑張っていくので、よろしくお願いします! (2017年2月26日 8時) (レス) id: 5dfeb6ba3e (このIDを非表示/違反報告)
love knot(プロフ) - この作品大好きです!これからも頑張ってくださいね! (2017年2月25日 17時) (レス) id: 3683cefdc8 (このIDを非表示/違反報告)
futureblue�鏡�(プロフ) - スズランさん» 1週間も前にご指摘頂いたのに、返信が遅くなってしまい申し訳ありません｡ご丁寧にありがとうございます｡敢えて<安定>としたのですが分かりにくかったですね｡修正しておきます｡ありがとうございました! (2017年1月11日 22時) (レス) id: 5dfeb6ba3e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：futureblue�鏡� x他1人 | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2016年6月11日 19時
