＊ ページ9
「まず手始めに、お姉さんとは話さないでください。目も合わせないで、完璧に無視してください」
「え…？」
てっきり、お金を要求されるものだと思っていた。
「そ、それはどういう？」
「理由を聞く権利は先輩にはありません。では、放課後、またここで会いましょう。少しでもお姉さんと話したりしたら、この写真、ばらまきますからね」
止める間もなく、風見さんは屋上を出ていった。
＊
数分して姉が屋上に入ってくる。
「ごめん、遅くなった…A？どうしたの、そんな暗い顔して…」
「…」
このまま一緒にいることなど、できるはずもない。一緒にいれば、きっと、絶対、話してしまう。そうすればあの写真が…。姉に迷惑がかかってしまう。
目を合わせないようにうつむいて立ち上がると、走って屋上を出た。姉が呼び止める声が聞こえる。
ドアを開けると、ニィと笑う風見さんがいて。
「よくできましたね、先輩。つらいですか？」
「ほんと…性格悪いね、風見さん」
「褒め言葉ですよ、それ」
構わずに階段を駆け下りた。大丈夫、避けるのはついこの間までやってたこと。少しばかり胸が張り裂けるように苦しくても、身を切られるほど痛くても、大丈夫。大丈夫。
そしてこれは、調子に乗っていたわたしへの罰、なのだから。
＊
Aが出て行った方を見る。急なことだったので、追いかけることもできなかった。
今にも飛び降りてしまいそうな顔。暗く、絶望に歪んだ顔。何がAをあんな顔にしたのだろう。さっきまでは私が求めると、恥ずかしそうに、それでいて嬉しそうに笑ってくれていたのに。
階下ですれ違った女の子。とても嬉しそうに笑っていた。やっと、欲しいものを手に入れたように。あの女の子はもしかして、屋上に続く階段がある方から、歩いてこなかっただろうか。
どちらにしても。
「許さない」
私からAを奪おうとする者は、誰であろうと許さない。
それでたとえ何かがめちゃくちゃになったとしても。
私の隣にAがいてくれればそれでいい。Aがいなければ、生きている意味がない。
Aがいたからこそ、あの時。どうしようもなく消えてしまいたかったあの時。乗り越えることができたのだと、今になって思う。
私の生きる意味を奪うことは絶対にさせない。
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ぱっちぇ(プロフ) - 更新待っていました！またゆっくりと更新して下さい、楽しみにしています✨ (4月25日 2時) (
レス) @page29 id: 610abc998d (このIDを非表示/違反報告)
雪柳(プロフ) - 朝さん» コメントありがとうございます！いま、実生活が忙しいので、更新もう少し後になるかもです…落ち着いてきたらまた更新するので気長に待っていてください！ (2022年2月16日 16時) (レス) id: bd2a1697dc (このIDを非表示/違反報告)
朝 - 続き待ってます！ (2022年2月15日 22時) (レス) @page28 id: ceafdc132b (このIDを非表示/違反報告)
雪柳(プロフ) - hosiyomi_jojiさん» 待っていていただいて、こちらこそありがとうございます！頑張りますね！！ (2021年11月14日 17時) (レス) id: cfd3fbf4ae (このIDを非表示/違反報告)
hosiyomi_joji(プロフ) - 待ってました！！終わるまで読むので頑張ってください！面白い作品をありがとうございます〇┓ﾍﾟｺｯ (2021年11月14日 17時) (レス) @page27 id: a5ca2a1311 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪柳 | 作成日時：2021年4月14日 11時
